1. 事件の概要
[争点]
出願商標「DRAGONFLY OPTIS」と先登録商標「OPTEASE」の商標の類否を判断するに当たり、識別力の高い「DRAGONFLY」が結合されているにも拘らず、指定商品の性質を示す「OPTIC」を連想させる出願商標の「OPTIS」部分を要部とし、先登録商標と類似するとみなすことができるのかが争点となった。
[事件の背景]
国際登録出願商標『「指定商品:医療映像用カテーテル(Catheters used in medical imaging)」』は、先登録商標「」および「」と標章が類似するとみなして旧商標法(2016.2.29.法律第14033号で全部改正される前のもの)第7条第1項第7条に該当するとの理由により拒絶決定が下され、これによって本事件出願商標の「OPTIS」部分を商標の要部として先登録商標と全体的に類似するとみなすことができるのかが問題となった事案である。
本事件出願商標の指定商品である「Catheters used in medical imaging(医療映像用カテーテル)」は、ゴムまたは金属製などの細い管にレンズなどを装着して人体の血管内部などを撮影し、これをモニターに転送して人体外部において手術や診断を容易にする医療器具である。
また、本事件出願商標の「OPTIS」は「目の、レンズ」という意味を有する「OPTIC」から英文字「C」を「S」に変えたものである反面、「DRAGONFLY」部分は「トンボ」という意味を有する部分であり、指定商品と何ら関連がなく、「OPTIS」部分と比較すると、相対的な識別力が強い部分に該当する。
一方、特許審判院および特許法院では、本事件出願商標の「OPTIS」部分を要部とし、これを分離して先登録商標中の「OPTEASE」標章と商品出処に関する誤認、混同を引き起こし得る類似する商標とみなした。
2. 大法院の判断
大法院は、商標の構成部分が要部であるか否かは、他の構成部分と比較した相対的な識別力水準やそれとの結合状態と程度、指定商品との関係、取引実情などまで総合的に考慮して判断しなければならないため、本事件出願商標の「OPTIS」部分は、指定商品の性質を示す単語「OPTIC」を連想させて識別力が微弱である反面、「DRAGONFLY」は「OPTIS」部分と比較すると、相対的な識別力が強く、全体的な比重も高いため、結局、本事件出願商標は「DRAGONFLY」部分のみが要部となり得、「OPTIS」部分は要部となり得ないとみなした。
したがって、本事件出願商標と先登録商標は、全体的に外観、呼称および観念が異なり、互いに類似しないと判断した。
3. 本判決の意義
商標の類否判断方法である要部観察と関連して、過去の大法院判例は、商標の類否判断は全体観察を原則とし、適切な全体観察の結論を誘導するための手段として要部観察が必要との立場であった(大法院94フ265判決(1994.5.24.言渡)、大法院2003ド3906判決(2006.1.26.言渡)など)。今般の大法院判例は、商標の構成部分が要部であるか否かを判断するに当たり、その部分自体が周知著名な部分であるか、全体商標において高い比重を占める部分であるかなどの要素を考慮する以外にも、ⅰ)他の構成部分と比較した相対的な識別力水準、ⅱ)他の構成部分との結合状態と程度、ⅲ)指定商品との関係、ⅳ)取引実情などを総合的に考慮して判断しなければならないことをより明確にした点で意義があるといえる。
|