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BM特許に対する考察
弁理士 李元日

I. 序論

インターネット上の電子商取引関連技術を主導する米国の場合、連邦裁判所で電子商取引方法に対する特許権保護を積極的に支持することに伴って、特許出願及び侵害紛争も同時に増加する現象が現れており、情報通信技術を応用した方法発明は多様な変更が可能であるが故、特許侵害訴訟と関連した関心が増大している。特に、最近国内外的に知識財産権を企業経営の戦略的手段として活用し始めることに伴って、今後も特許出願及び侵害紛争は持続的に増加すると見込まれる。

以下、このような電子商取引発明、つまり、BM発明に対して考察する。

II. BM特許に関して

特許制度は機械、器具などのようなハードウェアに含まれている新たな技術的な思想を保護するための制度として発展してきたが、コンピュータとインターネット通信が発達しながらビジネスモデルを具現したソフトウェアに対する保護の問題が台頭し、現在はインターネット通信と関連したビジネスモデル(BM)が多数出現している。このようなBMが特許として保護を受けるようになるまでの変遷過程を考察する。

1) 1984年11月に制定されたコンピュータ関連発明の審査基準は、ソフトウェアが利用する純粋の法則性が自然法則によるものである時には“方法”発明として成立することができ、コンピュータがある装置やシステム内で特定の目的を達成する機能実現手段として利用される場合には“装置”発明として成立することができるというなど、特許可能性の判断基準を提示した。

この審査基準によると、運営体制、制御プログラムなど一部のシステムソフトウェアを除いた純粋ソフトウェアは特許の対象から除外された。

2) 1995年2月に改正されたコンピュータ関連発明の審査基準では、ソフトウェアによる情報処理が対象の物理的又は技術的性質(構造上の性質も含む)に基づいて成された場合、又はハードウェア資源を伴った場合には、自然法則を利用したものとみなして特許可能性を認めた。1995年2月に改正された審査基準によると、ソフトウェアを記録した記録媒体は特許の対象から除外されており、“技術的性質”という概念を明確に定義しにくいという難点を持っていた。

3) 1998年2月に発表されて1998年8月1日以降に出願される発明に対して施行されるコンピュータ関連発明審査基準は、米国審査基準での発明の成立性判断と若干の用語が異なるに過ぎず、全体的な内容はほとんど同一である。したがって、審査基準ではその発明に“産業上利用することができる具体的手段”、つまり、技術的な思想が存在するか否かを検討して特許の成否を判断するようにした。

また、コンピュータ関連発明を特許請求の範囲に記載するにあたって、ソフトウェアを記録したコンピュータで読取可能な記録媒体も特許請求の範囲に記載できるようにすることによって、従来は“方法”発明としてのみ請求された発明に対して記録媒体という“物”の発明としても請求できるようにしてソフトウェア開発者の権利をさらに強化した。

現在、韓国で適用しているBM特許に対する審査基準は、米国などの規定とほとんど差がなく、BMを技術的に適切に表現して明細書を作成して出願すれば特許を受けることができるという立場を取っている。

もちろん、BMが究極的に特許登録を受けるためには特許法で定めた特許要件を満たさなければならず、特に特許出願日以前に公開されてはならないことに留意されたい。

III. BM特許の成立性に対する考察

現在韓国の特許法には発明の定義を“自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの”と明示しており、特許を受けるためにはまず同法に規定された定義を満たさなければならない。特許庁のコンピュータ関連発明審査基準もこれに基づいて制定され、審査官もこれに基づいて審査を行う。

現在の規定を厳密に適用してみると、「コンピュータソフトウェアが自然法則を利用した場合」とは、コンピュータプログラムにより遂行されるプロセス、つまり、アルゴリズムが産業分野に利用されて所期の目的を達成し、その過程が自然法則を利用したと認めることができる場合に限り本規定を満たしたと認めることができる。

韓国特許法や日本特許法が数回にわたって改正されながらもいまだ“自然法則利用”という部分をそのまま存続させる理由は、同条項が押し寄せる外国のコンピュータソフトウェア特許に対する最後の堡塁だと考えるためである。同分野に対する韓国業界の実情は他の先進国よりもぜい弱な状態にあり、基本技術は米国など先進国が先占している状況である。韓国が同分野に対する特許性の成否を慎重に扱っている理由は、韓国の産業界に波及する影響を考慮しているためである。

しかし、世界的な傾向が産業分野の対象を金融業まで含む広い意味で見ており、アルゴリズムが産業分野に適用されて類型の結果を提示すればその特許性を認める方向に進んでいるので、自然法則の利用性と相反する部分はその解釈が判例及び政策方向などと調和しなければならないだろう。

IV. BM特許の新規性に対する考察

審査基準では、営業方法発明の請求項に記載された発明と引用発明の営業方法上の特徴が同一であるとしても技術構成の差があれば新規性があるとみなしている。

問題になる場合は、具現技術構成上の差があっても、かかる差が既に公知となって新しいものでなく、均等な範囲での置換とみなすことができる時である。

この時には同一性範疇に属し、二つの発明は同一な発明とみなさなければならない。

前述した二つの発明を同一な発明とみなす場合に、例えば、先出願発明が公開される前に後出願発明が出願された場合、具現技術構成上の差があるとしても先願主義により後出願発明は拒絶され得る。

この場合、異なる見解で、二つの発明が別個の発明であるとして、二つの発明が特許を受けるようになると、事実上その権利範囲は極めて狭くなり、これを拡張するために均等論などで権利範囲を解釈する時、二つの発明間には紛争の素地が生じる。

V. BM特許の進歩性に対する考察

審査指針ではBM発明を営業方法上の特徴と具現技術構成上の特徴に分け、少なくとも二つのうちのいずれか一つは新たなものでなければならないとしている。営業方法と具現技術構成上の特徴の進歩性がすべて認められる場合と、営業方法は同一であるが具現技術構成上の特徴がある場合は問題ないが、具現技術構成上の特徴なしに営業方法上の特徴のみを有している場合が問題になっている。

具現技術構成上の特徴があり、営業方法が同一な場合に進歩性が認められるのと同様に、具現技術構成上の特徴なしに営業方法上の特徴のみを有している場合にも進歩性を認めるべきである。なぜなら、BM発明の場合、営業方法をインターネットなどを利用して具現した発明であるため、営業方法もBM発明の重要な一軸をなしているためである。

また、ビジネス発明の進歩性を判断する場合、ビジネスモデルが実現された情報システムの技術的進歩性のみを比較するのでなく、ビジネスモデルの独創性と情報システムの技術内容を全体的に比較判断しなければならないだろう。

VI. むすび

ビジネス発明の成立性、新規性、進歩性を過度に厳格に適用する場合には、最初に基盤ビジネスモデル特許を先占した先進国の特許権に過度に広い権利範囲を付与する結果を招くようになる。したがって、現在先占の機会を狙う先進国のビジネスモデル発明に対して韓国内企業が対抗することができるように多様な形態の改良発明に対しても適切な特許権を付与しなければならないだろう。

最後に、国際的な侵害の問題に対して簡単に言及すると、インターネットは全世界的なネットワークであり、ある一国に限定されない反面、特許権は特許権を付与された国に制限されるという原則によって国際的な侵害の問題が発生している。つまり、韓国内でBM方法発明の特許を受け、これを具現したウェブサイトを米国の居住者が利用することができれば、同一な内容の米国特許権が存在する時、これを侵害するか否かが問題である。このような問題に対しては世界知識財産権機構であるWIPOなどでも現在議論されてはいるが、いまだ具体的に決定されたことはない状態である。

インターネットという仮想空間の特性上、ある特定国でのみアクセス不可能に設定することは不可能であり、米国特許権を侵害すると認める場合には米国特許権の保有者に世界的な特許権を付与するのと同一な結果となるので、これを侵害と判断することはできないだろう。