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大法院2010ド6187判決(2012.5.9.言渡)【不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律違反】
弁理士 李慶淑

登録商標の使用が、地域的周知商品標識に対する不正競争行為になるか否か(積極)

大法院は、自分の登録商標と実質的に同一な登録商標を使用したとしても、かかる標識使用行為が、不正競争防止および営業秘密保護に関する法律(以下、‘不正競争防止法’という)第2条第1号(イ)目 所定の、周知性を獲得した他人の商品であることを表示した標識と混同を生じさせるなら、不正競争行為に該当すると認めることに障害とならないと判示した。

1. 事案の概要

被害者OOOは、1990年頃から大邱(テグ)、慶尚北道(キョンサンブクド)地域で、“不老酒”というマッコリを生産、販売し始めており、2005年頃からは容器に“”および“(不老のハングル表記)”標識を含む文字、図形、色彩、地模様が一緒に表示されているマッコリ容器を使い始めており、2008年には、被害者側のマッコリの出庫量が韓国内のマッコリ消費量の約9.6%を占めるなど周知性を獲得した。

被告人金OOは、醸造業者であって、2007.6.18.に被害者側のマッコリ容器に表示された標章と類似する商標“”を出願して2008.4.23.に登録を受け、2008.7月頃からは、大邱地域で被害者製品と容器標識の色相、デザイン、外形が類似し、表示された商品名も‘不老’と同一の標識を使用した容器を用いたマッコリを、大邱、慶尚北道一帯に販売してきた。これに対して、被害者側が不正競争防止法違反で被告人側に対して刑事告訴した事件である。

2. 大法院の判断

[1]一般的に、商品の容器や包装が商品出処を表示するものではないが、ある容器や包装の形状と構造または紋様と色相などが商品に独特の個性を付与する手段として使用され、それが長期に亘り継続的、独占的、排他的に使用され、又は、持続的な宣伝広告などによって、その形状と構造または色相などが有する差別的特徴が、取引者または需要者に特定の品質を有する特定出処の商品であることを連想させる程度に顕著に個別化されるに至った場合には、不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の“他人の商品であることを表示した標識”に該当する(大法院2002ダ18152判決-2004.11.11.言渡-など参照)。また、商標法第6条第1項第3号 所定の、記述的標章のように一般的に識別力がない標識であるとしても、それが長期間使用されることによって取引者や一般の需要者などが、ある特定人の商品であることを表示するものと広く知られて認識するようになった場合には、不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の“他人の商品であることを表示した標識”に該当する(大法院2006ド577判決‐2006.5.25.言渡‐など参照)。

たとえ‘’および‘’標識がマッコリなどの酒類に使用される場合、“老いを防ぐ酒”程度の意味に直感されて、使用商品の品質、効能を普通に使用する方法で表示した標章に該当するとしても、被告人が、その登録商標を出願した2007.6.28.頃はもちろん、その登録商標またはその商品標識を使用して大邱地域で、マッコリ製品を生産・販売し始めた2008年7月頃には、既に‘’と‘’標識はもちろん、これを含めて被害者側のマッコリ製品容器にある、文字、図形、色彩など多様な要素が結合した全体的外観(以下、‘本事件商品標識’という)も、大邱とその近隣地域の一般需要者などに特定の出処の商品であることを連想させる程度に、個別化されて自他商品の識別機能を有する商品標識として広く知られていたと認めることが相当である。

[2]‘マッコリ’は、通常その流通範囲が一定の地域内に制限される点と、韓国の国土面積および人口における大邱とその近隣地域が占める比重などに照らしてみる時、本事件の商品標識が、大邱とその近隣地域のみで広く認識されていたとしても、これは不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の‘国内に広く認識された他人の商品であることを表示した標識’に該当すると言える。

[3]被告人の登録商標出願当時、既に被害者側の本事件商品標識が大邱とその近隣地域で、被害者側の商品標識として認識される程度に広く知られていた以上、被告人の商標登録出願は、被害者側の商品標識の周知性に無断便乗して、これを不当に利用する意図から行われたと認められるので、被告人使用の商品標識が、被告人の登録商標と実質的に同一なものであるので、被告人がその登録商標を使用したことに該当しても、本事件の商品標識が周知性を獲得した大邱とその近隣地域で被告人がその商品標識を使用する行為が、不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の不正競争行為に該当すると認めることに障害にならない。

3. 本判決の意義

本判決は、マッコリ製品の容器にある識別力が不足した文字、図形、色彩など、多様な要素が結合した全体的外観自体が、自他商品の識別機能を有する商品標識として知られていたと判断したものであり、製品の全体的外観が不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の“他人の商品であることを表示した標識”として認められる基準を再度提示し、不正競争防止法第2条第1号(イ)目で、他人の商品であることを表示した標識が‘国内に広く認識されていた’という意味は、必ずしも国内全域にかけて周知されていなければならないというのではなく、一定地域内にのみで広く認識されていても認められるという点を確認した。

また、本事案で、被告人は、被害者側の広く知られた商品標識を模倣した商標を出願して登録を受け、その登録商標を使用したのに、判決では、登録商標の出願当時に他人の標識が広く知られていた以上、その商標登録出願は、他人の商品標識の周知性に無断便乗してこれを不当に利用する意図で行われたものと認められるので、登録商標を使用したものとしても不正競争防止法第2条第1号(イ)目 所定の不正競争行為に該当すると認めることに障害にならないと判示した。最近、大法院は、全員合議体判決で、“登録商標に対する登録無効審決が確定する前であるとしても、その商標登録が無効審判により無効となることが明白な場合には、その商標権に基づく侵害禁止または損害賠償などの請求は、特別な事情がない限り、権利濫用に該当して許容されないと認めなければならず、商標権侵害訴訟を担当する法院としても、商標権者のかかる請求が権利濫用に該当するという抗弁がある場合、その当否を考察するための前提として、商標登録の無効の要否に対して審理判断することができる。” (大法院2010ダ103000判決-2012.10.18.言渡-)と判示したことがあるが、本判決では、被告人が自分の登録商標を使用したにもかかわらず、その商標登録が無効となるか否かの問題とは関係なしに、登録商標の使用行為であるとしても不正競争行為に該当し得ると判示した点に意義があると判断される。