1.事件の概要
[原告、上告人] ○○○LTD
[被告、被上告人] 特許庁長
[被告補助参加人] 株式会社□□エンターテイメント
[原審判決] 特許法院2011ホ11118(2012.2.17.言渡)
2.原審判決\
(1) 特許審判院(2010ウォン6898)
請求人は、i)「2NE1」という名前の別の歌手が以前存在し、ii)「To anyone」という意味で、米国のある医学者が発表した「魂の重さは21グラム」という論文から由来した単語であり、iii)本事件出願商標が含まれているドメインネームの所有者が英国人である点を考慮すると、本事件出願商標が出願された2009年当時、「2NE1」は他人の著名な氏名でなかったことを主張した。また香港、シンガポール、米国などにおける登録事例を根拠として提示した。しかし、たとえ本事件出願商標が出願された以降のものであっても、ガールグループ2NE1の各種受賞実績および出願当時の大衆の爆発的な関心を考慮すると、国内の大衆に広く知られたと見なすことができる。しかも、最近、インターネットの広範囲な普及と各種通信機器の発達により短期間内に一般需要者に広く知られ、芸能人の場合、大衆の関心を持続して集めるだけでなく、その影響力が非常に広範囲であるため、他人の人格権を保護する商標法第7条第1項第6号の趣旨を考慮すると、本事件出願商標は他人の著名な氏名と同一であり登録が拒絶されるべきである。また法制が異なる外国の登録事例に拘泥されず、したがって、審判請求を棄却する。
(2) 特許法院(2011ホ11118)
情報提供人であると共にガールグループ「2NE1」の所属会社である株式会社□□エンターテイメントが特許庁を補助する補助参加申請をし、特許法院がこれを許容した。上記参加人は第7条第1項第6号以外にも同条同項第10号および第11号を共に主張したが、法院は判決文で第6号だけに対して判断した。
3.大法院判決(2012フ1033)の主要内容
(1) 上告理由1点-商標法第7条第1項第6号の該当有無に対する判断時点
商標法第7条第2項によれば、「第7条第1項第6号に該当する商標でも商標登録の出願時にこれに該当しないものに対しては該当規定は適用しない」と定めているため、その判断基準時点は商標登録出願時と見なさなければならず、これは同規定に該当するかについて立証する証拠が商標登録出願前に作成されたことを意味するものではない。したがって、被告補助参加人が情報提供書と共に提出した本事件出願商標の出願後に作成された証拠資料(あるいは作成日が明確でない資料でも)に基づいて本事件出願商標が出願当時に第7条第1項第6号に該当するか否かを判断したことには違法がない。
(2) 上告理由2点-商標法第7条第1項第6号の著名な他人の氏名の該当有無
第7条第1項第6号は、著名な他人の氏名、名称または商号などを含む商標は登録を受けることができないようにして他人の氏名権を保護しているところ、他人の氏名の著名程度は使用期間、方法、態様、使用量および取引範囲と取引実情などを考慮して指定商品と関連した取引社会で他人の名称などが広く認識され得る程度に至ったか否かで判断しなければならない。
「2NE1」は、被告補助参加人の所属ガールグループの名称であり、近年、音楽など文化芸術に対する一般人の関心が高まっており、音楽は日常生活で活用度が多様化しており、近年、多様な通信機器の普及により大衆音楽に対する需要が急速に拡大するなどの事情を考慮すると、当該ガールグループが大衆媒体に姿を見せた時(デビュー日は2009年5月6日)から本事件出願商標の出願日まで約2ヶ月に過ぎないとしても、出願日頃の国内の需要者の間で広く知られており、著名性を獲得したと見なすことが妥当であるため、本規定の著名性に関する判断に違法がない。
(3) 上告理由3点-拒絶決定不服審決取消訴訟における民事訴訟法第71条の補助参加の許容有無
審判は特許審判院での行政手続であり、審決は行政処分に該当するため、それに対する不服訴訟である審決取消訴訟は行政訴訟に該当する。行政訴訟法第8条により準用される民事訴訟法第71条は補助参加に関して訴訟結果に利害関係がある者は一方の当事者を助けるために法院に継続中である訴訟に参加することができると規定しているため、拒絶決定に対する審判の審決取消訴訟にも民事訴訟法上の補助参加に対する規定が準用される。
したがって、原審が参加人の補助参加を許容したことには違法がない。したがって、上告を棄却し、上告の費用は補助参加による部分を含み敗訴者(原告)に負担させることとする。
4.本判決の意義
(1) 商標法第7条第1項第6号の判断時点関連
本判決は、大法院が著名な他人の氏名を含む出願商標の登録を拒絶することによって、他人の人格権を保護しようとする商標法第7条第1項第6号の趣旨に合うように、第7条第2項で定めている本規定の判断時点である商標出願時をより融通性を持たせて判断した点で意義を見出すことができる。
第7条第1項第6号は、他人の人格権を保護するための私益的規定であるからには、当該他人の氏名などの著名性に対する判断は一律的に判断するのでなく、各事案に合うように具体的に判断しなければならない。したがって、具体的な取引実情に照らし合わせて出願時点に他人の氏名の著名性を認めることができれば十分であり、必ずしも著名性の立証資料が出願日以前に作成されることを要求しない。
たとえ本事件出願商標が2009年5月25日に出願され、ガールグループ「2NE1」はそれから僅か2ヶ月前から大衆媒体に露出し始めたとしても、i) 大衆音楽の一般需要者の実際生活に及ぼす波及力、ii) スマートフォンなど通信機器の急速な普及による手軽な音源および情報に対するアクセス、iii) 最近の大衆歌謡を中心にした韓流ブーム、iv) 「2NE1」に対する出願日当時の大衆の爆発的な関心など、実際の取引事情などを考慮すると、本事件出願商標の出願日頃の国内需要者の間でガールグループの名称として広く知られており、著名性を獲得したと判断した。第7条第2項の判断基準時点は著名性の判断時点を出願時であるとし、これを立証する資料の作成日付が出願時以前であることを要求しているのではないため、補助参加人が提出したガールグループ「2NE1」の著名性立証資料が本事件出願商標の出願日以降に作成されたり作成日付が不明確な事実は、上記のような判断において違法事由にならない。
(2) 特許法院の審決取消訴訟でも補助参加を許容
行政訴訟に該当する審決取消訴訟に対して行政訴訟法第8条により補助参加を許容することは、法理上、当然認められるべきことであるばかりか、利害関係人による同一の訴訟提起を避けるようにして訴訟経済および権利保護を図らなければならないため、望ましい判決であると判断される。
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