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虚偽表示または類似虚偽表示に対する判断基準-大法院2013ド10265判決(2015.8.13.言渡)-
弁理士 李暻坤

特許されたものなどと表示された物の技術的構成が請求の範囲に記載された発明の構成を一部変更したものであるとしても、公衆を誤認させる程度に至らなかった場合には、上記物に特許されたものなどと表示をする行為が特許法第224条規定で禁止する表示行為に該当するとみなすことができない。

[判決要旨]

 特許法第224条第3号は、同条第1号の特許されたものでない物、特許出願中でない物、特許されたものでない方法もしくは特許出願中でない方法により生産した物を生産・使用・譲渡するために広告などにその物が特許もしくは特許出願されたものまたは特許された方法もしくは特許出願中の方法により生産した物と表示したり、またはこれと混同しやすい表示(以下、「特許されたものなどと表示」という)をする行為を禁止している。

上記規定の趣旨は、特許による取引上の有利さと特許に関する公衆の信頼を悪用して公衆を誤認させる行為を処罰することによって取引の安全を保護することにある。このような趣旨に照らしてみると、特許されたものなどと表示した物の技術的構成が請求の範囲に記載された発明の構成を一部変更したものであるとしても、このような変更が当該技術分野における通常の知識を有する者が普通に採用する程度に技術的構成を付加・削除・変更したものに過ぎず、これによって発明の効果に特別な差が生じることもないなど、公衆を誤認させる程度に至らなかった場合には、上記物に特許されたものなどと表示をする行為が上記規定で禁止する表示行為に該当するとみなすことができない

[事案の概要]

 1.特許法第224条第3号は、同条第1号の特許されたものでない物、特許出願中でない物、特許されたものでない方法もしくは特許出願中でない方法により生産した物を生産・使用・譲渡するために広告などにその物が特許もしくは特許出願されたものまたは特許された方法もしくは特許出願中の方法により生産した物と表示したり、またはこれと混同しやすい表示(以下、「特許されたものなどと表示」という)をする行為を禁止している。

上記規定の趣旨は、特許による取引上の有利さと特許に関する公衆の信頼を悪用して公衆を誤認させる行為を処罰することによって取引の安全を保護することにあるといえる。このような趣旨に照らしてみると、特許されたものなどと表示した物の技術的構成が請求の範囲に記載された発明の構成を一部変更したものであるとしても、このような変更が当該技術分野における通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」という)が普通に採用する程度に技術的構成を付加・削除・変更したものに過ぎず、これによって発明の効果に特別な差が生じることもないなど、公衆を誤認させる程度に至らなかった場合には、上記物に特許されたものなどと表示をする行為が上記規定で禁止する表示行為に該当するとみなすことができない。

2.原審判決の理由と原審が適法に採択した証拠によると、以下の事情が分かる。

(1) 被告人1は、2003年12月16日に名称を「納骨箱安置台」とする本事件特許発明を、発明者は被告人1、出願人は被告人2株式会社として出願し、2004年2月6日に特許登録(特許登録番号省略)を受けた。

(2) 本事件特許発明の請求の範囲第9項(以下、「本事件第9項発明」という)は、一面が開放された収容空間部に遺骨が収納された納骨箱を安置した後、上記収容空間部の前面にその収容空間部と対応する開閉板が結合する本体から構成された納骨箱安置台において、上記開閉板と収容空間部の枠本体との間には気密部材を備えて上記開閉板がボルトにより結合し、上記収容空間部の本体後方面にはその収容空間部と通じるように突出して形成された注入口と、上記注入口に中央でその注入口と通じてガスが注入される注入バルブが結合される装着部材が装着されることを特徴とする納骨箱安置台に関する発明である。

(3) 被告人らが実際に製造した物を本事件第9項発明と比較してみると、ガス注入口と注入バルブが収容空間部「前方面」に形成されているという点にのみ差があり、残りの構成は同一である。

(4) 被告人1は、2009年12月15日頃に被告人2株式会社のホームページ(アドレス省略)に「真空後の窒素充填安置システムを完璧に実現し」、「真空後の窒素充填納骨箱安置台の特許登録(発明特許登録番号省略)を通じて認められており」との内容の広告を掲示した。

(5) 本事件第9項発明の核心的な技術的課題は、簡単な構造で納骨箱保管空間を真空または高圧力状態に維持して遺骨の腐敗と変質を最小化することにあり、ガス注入口と注入バルブの設置位置の変更は通常の技術者が普通に採用する程度の技術的構成の変更に過ぎず、これによって発明の効果に特別な差が生じることもないと認められる。

3.このような事情を上述の法理に基づいて考察すると、本事件第9項発明と比較して被告人らが実際に製造した物に行われた技術的構成の変更は、特許による取引上の有利さと特許に対する公衆の信頼を悪用して公衆を誤認させる程度に至らなかったといえるため、被告人らが上記物を特許されたものと広告を出したとしても、このような行為が特許法第224条で禁止する表示行為に該当するとみなすことができない。被告人らが広告で「真空後の窒素充填安置システム」という表現を使用したり、被告人らが製造した物が公知技術を用いて生産された物に該当する可能性があるという事情だけからこれと異にしてみることもできない。同一の趣旨の原審判断は正当であり、そこに上告理由の主張のように特許法第224条に関する法理を誤解したり判断を漏れるなどの違法がない。

4.上述のように、被告人1の行為が特許法第224条で禁止する表示行為の構成要件に該当しないため、上記被告人にそれに関する犯意が認められるとの上告理由の主張に関してはさらに考察する必要がない。

5.したがって、上告をすべて棄却することとし、関与大法官の一致した意見をもって主文のとおり判決する。

[判決の意義]

 本判決は、                                                                            
i) 特許権者、または特許を受けることができる権利を享有した者が、
ii) 特許発明または特許出願中である発明の技術的構成と一部異なる物に対して、
iii) 特許登録または特許出願されたものと表示したり、これと混同しやすい表示をした時、
これが同規定で禁止している表示行為、いわゆる、虚偽表示または類似虚偽表示に該当するか否かに対する判断基準を提示したという点でその意義がある。

[参照条文]

 特許法第224条第1号、第3号、第228条