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消尽理論によると、商標権者らが国内で登録商標が表示された商品を譲渡した場合には、当該商品に対する商標権はその目的を達成したものとして消尽され、商標権の効力は当該商品を使用、譲渡する行為などに及ばない。しかし、商標権が消尽された商品に関しても、元の商品との同一性を害する程度の加工や修繕を行って実質的に生産行為をするのと同様にみなすことができる場合には消尽理論の例外が適用されて、商標侵害に該当する余地があるということは、確立された判例の態度である。これと関連して、最近、元の商品との同一性を害する程度の加工や修繕を行った「リフォーム行為」に対して、リフォーム製品が取引市場で流通せずに個人的用途のみで使用される限り、リフォーム過程で行われた商標表示行為などが商標法上「商標の使用」に該当しないため、商標権の侵害に該当しないとの大法院判決が下された。以下、これについて考察する。
1. 事案の背景事実および経過
原告は、ハンドバッグ、財布などを指定商品とする多数の登録商標を保有しており、当該登録商標は1896年頃に創案されて以来、原告のバッグ、財布など商品に使用されて国内外に広く知られるようになった、いわゆる「高級ブランド」商標に該当する。
被告は、バッグ、財布などの修繕および製作業を営む者(「リフォーム業者」)であり、2017年頃から2021年頃まで登録商標が外部にプリントされている原告バッグをバッグ所有者から手渡され、これを解体、分解し、その生地や部品などを原資材として利用して個数、大きさ、容積、模様、形態、機能などが異なるバッグと財布(「本事件リフォーム製品」)を製作して既存のバッグ所有者に渡した。
第一審と第二審で、法院は被告に対して商標の侵害を認めた。本事件リフォーム製品は、それ自体が交換価値を有し、独立した商取引の目的物となる物品として、商標法第2条の所定の「商品」に該当するとみなし、商品の同一性を害する程度に加工して新商品を生産し、登録商標をその新商品に表示したため、消尽理論が適用されずに登録商標を商標として使用することに該当するとみなした。また商品の加工を業務として行う者である被告が、他人から注文を受けて原告の商品をリフォームしながら原告の登録商標を表示する行為は、自分が行う「業務に係る商品」であり、その無断表示は「業務に係る」商標の使用に該当するため、上記のような行為には商標法が適用されるべきであるとした。
しかし、大法院は、原告の商標権侵害を否認し、原審の判決を破棄した。
2. 大法院の判決内容
大法院は、リフォーム業者が所有者から個人的使用を目的としたリフォーム要請を受け、それに伴うリフォーム行為を行い、リフォーム製品を所有者に返還した場合、リフォーム業者がリフォーム製品に商標を表示する行為などは原則的に商標法上「商標の使用」に該当しないため、商標権侵害が成立しないとみなした。
大法院がリフォーム行為を所有者の「個人的使用」とみなして商標権侵害が成立しないと判断した具体的な根拠は以下のとおりである。
ⅰ) リフォームの程度がリフォーム前の製品との同一性を害する程度に達して実質的に新たな製品を生産したと評価されることができれば、商標権消尽の原則は適用されないが、リフォーム製品が商取引に提供されて取引市場に流通せず、個人的用途のみで使用される限り、リフォーム過程で行われた商標表示行為などは商標法上「商標の使用」に該当しない。リフォーム前の製品をリフォーム製品に変形・加工する一連のリフォーム行為も、所有権行使の自由として正当化され得る。
ⅱ) 個人的使用を目的とした所有者のリフォーム行為を許容する以上、これを所有者が自らリフォーム行為を行う場合のみに限定する理由がない。リフォーム作業には相当な時間と労働、専門性と技術力が要求されて所有者が自らリフォーム行為を行ない難い場合も多い。このような現実を無視したまま、所有者が自ら行うリフォーム行為のみを許容し、第三者によるリフォーム行為を禁止すれば、所有者に許容されたリフォーム行為の自由は実質的に保障されないまま、形式的な宣言にとどまる虞がある。
ⅲ) 所有者の個人的使用のための要請に応じたリフォーム業者のリフォーム行為がたとえ業として行われるとしても、これは所有者がリフォームの目的を達成するために自身の所有権を行使する過程で所有者の要請に応じて行われるものであり、その結果物も所有者の個人的使用領域に帰属する。所有者とリフォーム業者との間の取引は、取引市場に流通する商品の取引というよりは、究極的に所有者の個人的使用領域に吸収される取引と評価することができる。
しかし、大法院は、リフォーム業者のリフォーム行為であるとしても以下のような場合には依然として「商標の使用」に該当して商標権侵害が成立することができるとみた。
実質的にはリフォーム業者が一連のリフォーム過程を支配・主導しつつリフォーム製品を生産・販売するなど、これを自身の製品として商取引に提供して取引市場に流通するようにしたと評価するほどの特別な事情がある場合には、リフォーム業者のリフォーム行為に伴って行われた商標表示行為などが商標法上「商標の使用」に該当して商標権侵害が成立し得る。
所有者のリフォーム要請の経緯と内容、リフォーム製品の目的、形態、個数などに関する最終的な意思決定の主体、リフォーム業者が受領した代価の性格、リフォーム製品に提供された材料の出処、その材料がリフォーム製品で占める比重、リフォーム製品の所有関係など、様々な事情を総合的に考慮して判断しなければならない。所有者が個人的使用のための目的ではなく、商取引に提供して取引市場で流通されるようにする目的で登録商標が表示された商品に対するリフォーム行為を要請するなど、商標権侵害行為を行うことを知るか、または知ることができたにも拘らず、リフォーム業者がリフォームサービスを提供するなどの方法でその行為に関与したとすれば、それは商標権侵害による共同の法的責任を負うことができる。
3. 示唆点
大法院の判例は、リフォーム業者により行われたバッグ、財布などのリフォーム行為において、たとえ商品の加工の程度が同一性を超えて実質的に新たな製品を生産したものであるとしても、リフォーム製品が取引市場に流通するためではなく、バッグ、財布の所有者の個人的用途のみで使用される限り、これを商標法上の商標の使用ではないとみなして商標権侵害を認めなかった。また所有者の要請に応じたリフォーム業者のリフォーム行為がたとえ代価を受けて業として行われるとしても、所有者の個人的使用を目的としてリフォーム行為を行う場合であれば、その結果物も所有者の個人的使用領域に帰属するという判断基準を確立した。
この大法院の判例は、同一性を害する程度に達して実質的に新たな製品を生産したものであれば、消尽理論の例外が適用されるとみてきた既存の消尽理論から進み、実質的に同一性を超える加工行為が行われたとしても完全に個人的用途のみで使用されるか、個人的使用の領域に帰属可能な範囲の行為であれば、これを依然として所有権の行使範囲内とみたという点において意味がある。
それにも拘らず、大法院の判例は、リフォームの要請内容、製品の目的、リフォーム製品に提供された材料の出処などを総合的に考慮して、リフォーム製品が取引市場で流通するようにしたと評価すべき特別な事情がある場合などには、リフォーム業者のリフォーム行為として行われた商標表示行為に対して商標権侵害が成立し得ると判断している。また、商標権侵害行為を行うことを知るか、または知ることができたにも拘らず、リフォーム業者がリフォームサービスを提供するなどの方法でその行為に関与したとすれば、商標権侵害の成立、または商標権侵害による共同の法的責任を負う余地があることを明らかにしている。
したがって、大法院の判例の趣旨を理解したうえで、たとえ類似の事案に該当しても、リフォーム行為の注文過程および目的、加工内容などを総合的に判断して商標権侵害の該当有無が決定されるべきであることに留意する必要がある。
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