ニュース&イベント

IPニュース

「BORN STRONG」USPTOの新たな政策
弁理士 李鎔圭

トランプ政権に入り、米国特許商標庁(USPTO)のトップとしてジョン・A・スクワイアーズ(John A. Squires)長官が2025年9月に就任することに伴い、米国の特許審査および審判政策が大きな変化を迎えている。この中で最も大きな政策基調の変化は「Born Strong」政策に基づいている。すなわち、特許は、登録後に攻撃を受ける前に初めから強固でなければならず、今後は「審査は強化、審判は例外的にのみ認定」する政策を行うとのことである。以下にはこれについて詳細に考察する。

1. 「Born Strong」政策の胎動の理由

USPTOが推進するこのような政策は、保有特許に基づくビジネスを営む企業が今後IPR(inter parte review、当事者系レビューで特許無効審判に相当)などによる特許の無効化によりビジネスに打撃を受けないように特許の信頼性と予測の可能性を向上するためであるとみられる。すなわち、企業が活用可能な特許を安定的に確保するようにして、企業が研究開発の投資方向を明確にし、技術の商用化、ライセンシングおよび取引過程で発生する不確実性と費用を低減するために設けられたとみることができる。

2. 「Born Strong」政策の審判に対する影響

結局、「Born Strong」政策は、審判の比重を下げる結果に帰結される。すなわち、一旦特許権を確保すれば、その無効化は難しくなるとみることができる。このような政策の趣旨は、審判手続に以下のとおり反映されている(図の出処:USPTOの審判統計)。

3. 「Born Strong」政策の審査に対する影響

「Born Strong」政策により特許出願に対する審査品質は強化されるとみられる。「Born Strong」政策の審査に対する影響を整理すれば以下のとおりである。審査強化により継続審査請求(RCE)または拒絶決定不服審判(Appeal)を行う可能性が大きくなって出願の所要費用が増加することがあり、登録までの所要期間もより長くなる可能性がある。

4. 示唆点

「Born Strong」政策により米国特許の審査および審判に大きな変化が予想される。審査手続の強化に伴い特許権者の立場では、先行文献の事前検索による米国出願時における登録の可能性を綿密に確かめてみる必要がある。したがって、重要な特許出願は、韓国で先に優先審査請求により迅速に審査を受けて特許登録の可能性を一旦打診してみた後、特許決定となれば、PPH(特許審査ハイウェイ)を介して米国に優先審査請求する方案を考慮してみることができる。韓国出願の審査請求を遅らせ、米国出願の審査を先に進行して特許性に影響を与える決定的な先行文献がIDSで提出されないようにする戦略は、USPTOのAIによる先行技術調査によって今後は難しくなり得る。

逆に、特許権の対抗を受ける側では、競争会社の特許出願状況を綿密に把握したうえで、審査段階で第三者による情報提供を通じて競争会社の特許確保を早期に阻止する必要がある。ただし、米国では第三者情報提供の可能時期が極めて制約的であるため、競争会社の特許出願の迅速な把握および早期の先行文献検索による措置が必要である。また、競争会社の特許が登録される場合、登録を事前に探知して、IPRよりも手続上早期に行われるPGRの活用を考慮してみることができる。