ニュース&イベント

IPニュース

進歩性の欠如を理由とする一群発明背反の拒絶理由および克服方案
弁理士 朱東國

特許法では出願人、第三者および特許庁の便宜を図るために、互いに技術的に密接な関係を有する一群発明についてのみ一つの出願書として出願することができるように単一性要件を規定している。以下、特許登録要件としての単一性、特に進歩性の欠如を理由とする一群発明背反の拒絶理由および克服方案について考察する。

1. 関連規定

-特許法第45条(一つの特許出願の範囲)

①特許出願は一つの発明を一つの特許出願とする。ただし、一つの総括的発明の概念を形成する一群の発明に対しては一つの特許出願とすることができる。

②第1項の規定による一つの特許出願の要件は大統領令で定める。

-特許法施行令第6条(一群の発明に対する一つの特許出願の要件)

特許法第45条第1項但書の規定による一群の発明に対して一つの特許出願を行うためには次の各号の要件を備えなければならない。

1. 請求された発明間に技術的な相互関連性があること。

2. 請求された発明が同一または相応する技術的特徴を有していること。この場合、技術的特徴は、発明全体としてみて先行技術に比べて改善されたものでなければならない。

2. 単一性の判断方法

(1) 方法1

特許審査基準(指針書)によると、単一性は原則的に次の順に判断される。

第1発明の特定および技術的特徴の確定
第1発明を定め、先行技術に比べて改善に実質的な作用をする「特別な技術的特徴」を確定

第2発明の特定および技術的特徴の確定
第2発明を定め、先行技術に比べて改善に実質的な作用をする「特別な技術的特徴」を確定

③ 

第1発明と第2発明が一つの総括的発明の概念を形成するか否かを確認
①および②それぞれで確定した「特別な技術的特徴」が互いに同一または相応するか否かを判断したうえで、両発明間に技術的な相互関連性があり、一つの総括的発明の概念を形成するか否かを確認

(2) 方法2

審査実務の便宜上、各発明間の共通する特徴を先に見つけ、共通する特徴が先行技術に比べて改善されたものか否かを判断した後、共通する特徴が先行技術に比べて改善されていなかったら、単一性がないと判断することもできる。

3. 進歩性の欠如を理由とする一群発明背反の拒絶理由が発生する場合

請求項に記載された発明間に共通する特徴はあるが、当該共通特徴による進歩性が認められない場合、進歩性の欠如を理由とする単一性の拒絶理由が発生することがある。

*例示

[請求項1]

フレーム形状(A) +放熱構造(B)

[請求項2]

フレーム形状(A) +センサー配置(C)

フレーム形状(A)は共通する事項であり、放熱構造(B)とセンサー配置(C)は互いに異なる技術的課題を解決するものであって、相互関連性がないと仮定する。

例えば、前述した判断方法2によると、まず請求項1と請求項2で共通する特徴をフレーム形状(A)と特定することができる。この時、フレーム形状(A)が先行技術に比べて改善されたものではなければ、請求項1の発明と請求項2の発明は先行技術に比べて改善された特徴を互いに共有せず、技術的に相互関連性がないため、単一性違反(一群発明背反)と判断されることがある。つまり、請求項に記載された発明の互いに共通する特徴に進歩性が欠如したことを理由として一群発明背反の拒絶理由が発生することがある。

4. 克服方案

請求項に記載された発明のいずれの構成が核心であるのかによって拒絶理由の克服方案が変わり得る。上記例示に基づいて以下で考察する。

(1) フレーム形状(A)が核心特徴である場合

一つの出願内で補正書/意見書(例:フレームの形状に関連する細部事項を請求項に限定、フレームの形状が先行技術と差があることを反論)を通じてフレーム形状(A)に対して進歩性を主張して対応することができる。フレーム形状(A)に関連して進歩性が認められる場合、各請求項は先行技術に比べて改善された特徴を共通して含むため、一群発明に該当すると見なして単一性が認められ得る。

(2) 放熱構造(B)およびセンサー配置(C)が核心特徴である場合

放熱構造(B)およびセンサー配置(C)に対して進歩性が認められても、これらは技術的に相互関連性がないため、請求項1の発明と請求項2の発明は一群発明に該当しないと見なして単一性の拒絶理由は克服されないこともある。

したがって、放熱構造(B)およびセンサー配置(C)のいずれか一つに対して分割出願を行い、原出願の特許請求の範囲から分割出願された事項を削除することで、単一性の拒絶理由に対応することが望ましい。原出願および分割出願においてそれぞれの特徴に対して進歩性を主張することができる。

5. むすび

進歩性の欠如を理由とする一群発明背反(単一性)の拒絶理由が発生した場合、発明の核心特徴が何であるかによって対応方案が変わり得る。したがって、先行技術と差別化される発明の特徴を明確に特定した後、当該特徴が請求項に共通して含まれ得るか否かにより適切な対応方案を決定することが望ましい。