1. 概要
去る2017年3月30日に中国商標庁が商標と関連した官納料を半分に引き下げると発表し、2017年4月1日から商標出願などと関連して50%引き下げられた官納料が適用される。中国商標庁の官納料引き下げの背景、引き下げられた官納料の内容および範囲、新たに適用された官納料による長短所について紹介する。
2. 官納料引き下げの背景
官納料引き下げの背景は、中国政府のIP5年計画であるFive-Year IP Plan (2016-2020)の一環であり、このような計画は中国が世界的なIP資産強国へ浮上しようとする目的をもって始まった。これによって、中国はIP分野に持続的に莫大な投資をしており、中国商標庁(CTMO:The China Trademark and Marketing Office)は、北京と広州に2つの商標研究協力センターをオープンして以来、これを54ヶ国に追加的に拡張して行った。その結果として、2016年末、同年中国に出願した3,700万名の新規出願人を含む、中国に登録された商標個数は総1億2000個となった。これにとどまらず、中国政府は大幅な官納料引き下げ政策を通じて中国のIP分野の規模拡張および開発を図っている。
3. 引き下げられた官納料の内容
2017年4月1日から中国商標庁により施行された引き下げられた官納料の具体的な内容は次のとおりである。
項目 |
官納料(RMB) |
官納料(USD) |
商標登録出願(1類当たり) |
300 |
44 |
類別の11個目からの指定商品/サービスの追加料(商品/サービス当たり) |
30 |
4 |
商標登録証の再発行 |
500 |
74 |
商標権の譲渡/商標出願の移転 |
500 |
74 |
商標の更新(1類当たり) |
1000 |
147 |
商標の更新を更新猶予期間内に提出した場合の追納費(1類当たり) |
250 |
37 |
復審(不服審判)請求 |
750 |
110 |
登録人名義/住所の変更(1類当たり) |
250 |
37 |
商標登録証明の発行 |
50 |
7 |
団体商標登録出願/証明商標登録出願(1類当たり) |
1500 |
221 |
異議申立(1類当たり) |
500 |
74 |
商標の取消(1類当たり) |
500 |
74 |
商標の使用許諾契約の届出 |
150 |
22 |
4. 適用対象の範囲
官納料引き下げの対象範囲は中国内の国民だけでなく、外国人にも同等に適用される。したがって、何人もこのような官納料引き下げの恩恵を受けることができる。適用範囲は2017年4月1日から出願される商標、更新、審判に適用される。
5. 中国の観点における新たな商標官納料の長所と短所
新たな商標官納料の適用による長所と短所に対する展望が相次いでいる。初期には中国の官納料引き下げの成功的な面が主に注目されたが、これに伴う短所も発生するという予測である。中国内で商標を法により保護する費用が減少することに伴い、出願が飛躍的に増加して2017年に頂点を記録すると予想される中、少ない投資額で中国内で商標権を保護できるようになることによって、不必要或いは不正な目的の商標出願が急増すると見込まれ、これに対する中国の適切な対応策が必要であろう。
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