1.事件の概要
【原告、被上告人】OOOOOOインク他1人
【被告、上告人】OOOO株式会社
登録商標 |
使用標章 |
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原告の1人が登録商標を、性機能障害治療用薬剤を指定商品にして商標として登録を受け、デザインとしても登録を受けた後、原告のもう1人(子会社)が1998年頃から登録商標と登録デザインの製品を独占的に輸入/販売していた。
被告は、使用標章の形態で被告の製品である医薬品を販売していた。
2.裁判経過
-ソウル中央地方法院2012ガハブ87022判決(2013.3.29.言渡)
-ソウル高等法院2013ナ26816判決(2013.10.17.言渡)
-大法院2013ダ84568判決(2015.10.15.言渡)
3.大法院の判決
イ.判決要旨
登録商標と乙会社の製品の形態に共通の部分はあるが、形態に差異点も存在するだけでなく、専門医薬品として大部分の病院で医師の処方に基づいて薬剤師により投薬されている乙会社の製品は、包装と製品自体に記載された名称、乙会社の文字商標および商号などにより登録商標と区別可能であり、登録商標と乙会社の製品の形態が需要者に誤認・混同を引き起こすおそれがあるとは言い難いため、互いに同一または類似しているとみなすことができない。
ロ.判決内容
原審は、その判示のような事実を認めた後、本事件登録商標のような菱形図形の立体的形状と青色系列色彩の結合からなる原告の「バイ△グラ」製品(以下、「原告製品」という)の販売期間と販売量、原告の「V○□◇ra」および「バイ△グラ」文字商品標識とは別途に「Blue diamond is forever」の文句・青色ダイヤモンドの写真・手のひらの上の青色菱形図形の絵などを活用して行われた本事件登録商標に対する持続的な広告活動、本事件登録商標が「青色ダイヤモンド模様」・「菱形の青色錠剤」・「ブルーダイヤモンド」などと称されてマスコミの報道などを通じた露出頻度、需要者の認識に関するアンケート調査結果と原告の「V○□◇ra」および「バイ△グラ」文字商品標識の圧倒的な周知著名性がその商品の形態である本事件登録商標にも相当部分転移したとみられる点などを総合すると、本事件登録商標は、その商標の出願前に長期間特定商品に使用された結果、需要者間にその商標が原告の業務に関連した商品を表示したものと顕著に認識されて使用による識別力を取得したとみなす余地が十分であり、文字標章が付記されているという事情がこのような見方に妨害とならず、本事件登録商標が識別力がないという事由によりその商標登録が無効となることが明白であるといえないと判断した。
上記の法理と記録により考察すると、原審の上記のような認定と判断は正当であり、そこに旧商標法第6条第2項に関する法理を誤解するなどの違法がない。
原審判決の理由と記録によると、内服用錠剤には多様な大きさ、形状、色が存在し得るため、利用可能な代替的形状が多数存在し、本事件登録商標の指定商品である心臓血管用薬剤、性機能障害治療用薬剤が実際に本事件登録商標のような菱形図形の立体的形状と青色系列色彩でなく他の色彩と形状でも多くの企業で生産して販売されている点、また、上記形状と色彩の結合が錠剤の本来の機能を越える技術的要素が発揮されたものとは見難い点などが分かる。このような事情に照らして合わせてみると、本事件登録商標は、商標登録を受けようとする商品の機能を確保するのに不可欠な立体的形状のみからなる商標に該当するという事由によりその商標登録が無効となることが明白であるといえない。
同じ趣旨の原審判断は正当であり、そこに商標法第7条第1項第13号に関する法理を誤解するなどの違法がない。
本事件登録商標と被告製品の形態に共通の部分はあるが、その形態に差異点も存在するだけでなく、専門医薬品として大部分の病院で医師の処方に基づいて薬剤師により投薬されている被告製品は、その包装と製品自体に記載された名称と被告の文字商標および商号などにより本事件登録商標と区別可能であるとみなすことが妥当である。したがって、本事件登録商標と被告製品の形態は、需要者に誤認・混同を引き起こすおそれがあるとは言い難いため、互いに同一または類似しているとみなすことができない。
したがって、残りの上告理由の主張に対する判断を省略したまま、原審判決を破棄し、事件を再び審理・判断するよう原審法院に差し戻すこととし、関与大法官の一致した意見をもって主文のとおり判決する。
4.本判決の意義
本判決は、識別力が不足した色彩が結合された医薬品の形態の商標に対して、長期間独占的、継続的に使用されてきており、それにアンケート調査などを通じて広く認知された事実により商標法と不正競争防止法上の特別顕著性が認められた点において意義を有している。特に、原告の実際使用は、ブルーダイヤモンドの形態に文字が陰刻で彫られているが、持続的な広告活動、アンケート調査を通じて色彩と形態のみに対しても特別顕著性を獲得したことを認められてその意味が新しいと判断される。
ひいては、使用による識別力が不足していることが明白な場合に、無効となることが明白な点から権利濫用で無効審決の以前でもその権利を認めず、商標権侵害に該当しないとみなした大法院2010ダ103000全員合議体判決(2012.10.18.言渡)にも拘らず、使用による識別力主張を通じて無効事由が明白でないという反論が認められることができたという点で意義があると思われる。
また、商標の類否を判断するに当たり、登録された商標と共通点は認めながらも具体的、個別的事情により標章が非類似であるとみなし、使用による特別顕著性を獲得して商標権が有効であるにも拘らずその権利範囲を狭く解釈するとみなして、識別力が不足した標章に対して使用による識別力を認めた場合に、類似範囲の解釈に一定の基準を提示した点からも意義を有すると思われる。
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