ニュース&イベント

IPニュース

翻訳文の提出時に誤記がある場合の判断基準の整理
弁理士 金視内

1. はじめに

明細書などを外国語で記載して出願した場合、出願人は最優先日から1年2ヶ月以内に外国語明細書および図面(説明部分に限定)に対する韓国語翻訳文を提出しなければならない(特許法42の3(2)本文)。

韓国語翻訳文を提出すると、出願書に最初添付した外国語明細書などが韓国語翻訳文により補正される効果を有する(特許法42の3(5)本文)。これは、出願人が出願書に最初添付した外国語明細書などを韓国語で記載した明細書などにより補正しなければならない負担を減らすために、出願人が外国語明細書などと同一内容に翻訳して提出した韓国語翻訳文の内容のとおりの明細書の補正効果を与えるものである。

韓国語翻訳文は、外国語明細書などと同一内容で出願人が提出したものであるため、特別な事情がない限り、原文と翻訳文の新規事項違反の判断の基準となる。

2. 翻訳文の提出時に誤記がある場合の判断基準

(1) 原文新規事項違反の判断基準

外国語による特許出願(外国語による国際特許出願も含む)の原文に対する新規事項違反の有無の判断基準は、一般出願の新規事項の判断基準と同様である。

すなわち、審査対象の明細書などに記載された内容が、外国語明細書などに記載されていると認められる事項または外国語明細書などの記載から自明な事項に該当するか否かを判断する。

また、外国語明細書などに記載された文章などの順序を変えて翻訳した韓国語翻訳文を提出し、その韓国語翻訳文の順序のとおり審査対象明細書などが補正されても、外国語明細書などに記載されていない事項が審査対象明細書などに追加されていなければ、原文新規事項ではない。

(例1) 原文新規事項とならない例

外国語明細書などの請求の範囲に実施例1、実施例2が記載されており、審査対象明細書などには実施例2の部分がない場合

(例2) 原文新規事項となる例

外国語明細書などの「Ca」が誤訳により「カリウム」と翻訳

外国語明細書などにはCa(カルシウム)のみが記載されており、審査対象明細書などに記載されているカリウムは、外国語明細書などに記載した事項の範囲内であると認められないため、原文新規事項となる。

(2) 翻訳文新規事項違反の判断基準

外国語特許出願の明細書などの新規事項追加の有無の判断は、特別な事情がない限り、韓国語翻訳文の範囲違反のみを判断する。

審査対象明細書などの補正が第47条第2項後段の要件を満たさない場合、すなわち、次の1)または2)のうちいずれか一つの場合には、韓国語翻訳文の範囲違反の新規事項の追加補正に該当して拒絶理由(特許法47(2)後段、特許法62(5))となる。

1) 誤訳訂正がない場合:特許法第42条の3第2項に規定した韓国語翻訳文に記載された事項の範囲でない事項が審査対象明細書などに追加された補正の場合

2) 誤訳訂正がある場合:誤訳訂正により訂正された最終の韓国語翻訳文の範囲に記載されていない事項が審査対象明細書などに追加された補正の場合

3. むすび

翻訳文の誤記は、新規事項の判断に影響を与えることがあり、さらには権利範囲にも影響を与えることがある。したがって、翻訳文の提出前には誤記の有無を検討し、翻訳文の提出後には誤訳訂正(特許法第42の3)を通じて誤記を正すなどの措置をとらなければならない。