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利用関係の認否-大法院2023ダ289508判決(2024.10.31.言渡)
弁理士 朴賢一

【事件の概要】

原告は、第1審法院に被告を相手取って特許権侵害差止請求権不存在確認請求の訴えを提起し、第1審法院は一部勝訴判決を下した。これに対して被告は、特許法院に控訴して控訴審棄却審決を受け、さらに大法院に上告した事件である。

【利用関係の判断方法】

侵害製品などが特許発明を利用する場合には特許発明に対する特許権侵害に該当するが(特許法第98条)、このような利用関係は、侵害製品などが特許発明の構成に新たな技術的要素を付加するものであって、侵害製品などが特許発明の要旨を全て含み、これをそのまま利用しながら侵害製品など内に特許発明が発明としての一体性を維持する場合に成立する(大法院2015ダ204588判決(2015.6.11.言渡)、大法院2019ダ222782、222799判決(2019.10.17.言渡)など参照)。

【事実関係および法理の適用】

1. 事実関係の整理

被告の訂正発明の受け台(構成要素1)の「貫通型軸孔」が原告製品の「金属円筒柱」と実質的に同一であり、利用関係に該当するか否かが問題となった。

区分

本事件訂正発明

原告製品

構成要素

貫通型軸孔が形成された受け台

金属円筒柱、モータ、多角軸を含む下部ベース

構成要素2 

軸突起を含む回転パン

回転パンの下面中央の軸突起下部には「多角溝」が形成される

2. 法理の適用- 「貫通型軸孔」が「金属円筒柱」と実質的に同一であるか否か(積極)

本事件訂正発明の「貫通型軸孔」は、「受け台の上面中央に形成されて軸の機能を行い、回転パンの下面中央に形成された軸突起が挿入または分離され得る孔であって、底が塞がっておらずに開いている形状を有するもの」である。回転パン(構成要素2)の「軸突起」は、「回転パンの下面中央に形成されて軸の機能を行い、受け台の上面中央に形成された貫通型軸孔に分離可能に挿入結合する部分であって、突起形状を有するもの」である。

原告製品の「金属円筒柱」は、下部ベースの上面中央に形成され、回転パンの下面中央に形成された軸突起が挿入または分離され得る孔を有し、軸の機能を行うパイプ形態の構成要素であり、それ自体の上面と下面は開放されている形状である。

原告製品において「モータ・多角軸・多角溝」と「金属円筒柱」は、遂行する機能が異なる別個の構成要素であるため、モータなどが金属円筒柱の下端に配置されているという事情のみで、原告製品の金属円筒柱が底が塞がっている形状であるとはいえない

原告製品の「金属円筒柱」は、下部ベースの上面中央に形成されて軸の機能を行い、回転パンの下面中央に形成された軸突起が挿入または分離され得る孔を備えており、底が塞がっておらずに開いている形状であるため、本事件第1項訂正発明の「貫通型軸孔」と実質的に同一である。原告製品は、回転パンの下面中央に形成された軸突起が下部ベースの上面に形成された「金属円筒柱」に挿入された場合、回転パンが下部ベース上に回転可能に設けられる。このように原告製品は、本事件第1項訂正発明の構成要素1、2を含んでいる。

3. むすび

大法院は、原告製品が本事件第1項訂正発明の請求の範囲に記載された各構成要素と、その構成要素間の有機的結合関係を全て含み、それをそのまま利用した上で、原告製品内で本事件第1項訂正発明が発明としての一体性を維持しているとみなし、原審の判断(原告製品が請求の範囲の構成要素1、2をそのまま含んでおらず、侵害が成立しないという判断)を認めず、原審判決を破棄して事件を特許法院に差戻した。

【判決の意義]

このように大法院は、発明の保護範囲と構成要素の機能的結合関係を綿密に検討した上で、原審の判断誤謬を指摘し、事件を再審理するように差戻すことによって、特許権の侵害判断において請求の範囲の解釈の重要性と構成要素の有機的結合関係を再度強調した。