文字のみで構成された商標は、1)文字の意味が商品の性質などを直接的に示す場合、識別力がないため登録を受けることができず、2)文字の呼称と類似する商標が先出願または先登録されている場合、登録を受けることができない。
このように文字のみで登録が難しい場合、図形を付加して登録の可能性を高めることができる。図形の付加方式や図案化の程度による一般的な登録の可能性は下表のとおりである
ここで、図形付加方式は、便宜上、1)文字と図形の結合が外観上区分される外的付加と、2)文字自体をデザインした内的付加とに区分する。
上記内容をCASE別に関連した判決例を通じて具体的に考察する。
<CASE 1>識別力のない文字商標に図形を外的付加する場合
商標の識別力は、商標の構成全体の識別力を基準として判断する。したがって、文字商標が識別力がない場合、識別力のある図形を結合すれば、識別力が認められる可能性がある。
<登録事例>
ただし、付加される図形が商品の性質を示したり簡単でありふれている図形であるか、または付加される図形と類似する図形が先登録または先出願されている場合には登録が難しいこともある。
<拒絶事例>
<CASE 2>識別力のない文字商標に図形を内的付加する場合
CASE 2は、文字自体を図案化するものであり、登録可否は図案化された部分が文字として認識されるか否かにより異なる。
<登録事例>
<拒絶事例>
<CASE 3>識別力があるが、類似する先行商標が存在する文字商標に図形を外的付加する場合
この場合は、図形を結合しても識別力のある文字部分が図形と分離して観察される可能性が高いため、登録されないことが殆どである。場合によって図形の一部に文字を表記する場合、先行商標と類似しないと判断されることもあるが、文字部分の商標としての機能は弱化せざるを得ないため、文字商標の登録のための方法としては好ましくない。
以下は、商標の構成のうち文字でない図形部分が特徴的な部分であると判断した事例である。
<CASE 4>識別力はあるが、類似する先行商標が存在する文字商標に図形を内的付加する場合
CASE 2と同様に、このような商標の登録は図案化された文字部分が文字として認識されるか否か、あるいは図形のように認識されるか否かにかかっている。文字商標は呼称の類似性が重要であるが、図案化された部分が直ちに文字として認識されないのであれば、先行商標と対比する呼称がないため非類似と判断されるが、文字として認識されるとすれば呼称が発生するため、先行商標と呼称が類似しているとして拒絶されるからである。
CASE 4と関連して、直接的に参考となる事例は見つけ難いが、以下の事例は参照するに値する。
<登録事例>
<拒絶事例>
以上、文字のみの商標が識別力が弱いかまたは類似する先行商標が検索されて登録を確信することができない場合の登録の可能性を高めることができる方案について検討した。ただし、結合されるデザインの識別力の程度に対する特許庁や法院の判断は、時代の認識を反映して変動する部分があるので、上記事例は参照はできるが、定形化された判断基準ではない点に留意が必要である。
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