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変わる米国商標法の主要内容の整理
ニュージーランド・オーストラリア弁護士 金叡娜

2021年12月27日に施行される米国商標近代化法(Trademark Modernization Act、以下「TMA」という。)によりランハム法(Lanham Act)に重大な変化があると見込まれる。

これは使用主義を強化して最近増加する商標使用の虚偽証明の問題を解消しようとする動きと解釈される。すなわち、今回の改正法の究極的な目標は、商標登録簿から虚偽商標あるいは不使用商標を整理することにある。

TMAの主要な改正内容は、大きく3つに分けてみることができる。

1.第三者による不使用証拠の提出 (Third Party Submission of Evidence During Examination)

商標審査期間中に第三者が不使用証拠を米国特許商標庁(USPTO)に提出できるようにして、これを活用するか否かに対して2ヶ月内に決定する制度が導入されて商標取消手続が簡素化された1。例えば、第三者が出願人より先に使用したことを立証する証拠資料を提出したり、出願人が商標を商業的な用途で実際に使用していないことを示す証拠資料を提出することができる。

2.商標登録の抹消手続 (Ex Parte Expungement)

TMA 16A条2は、商標登録後に商業的な用途で一度も使用されたことがない、不適切に登録された商標を抹消することを許与する。したがって、誰でも登録日から3年以上10年以内に指定商品/サービスの一部あるいは全部に対して使用されていない登録商標に対して登録抹消を請求することができる。請求人は、登録商標が一部または全部の指定商品/サービスに対して使用されなかったことを示す合理的な調査(reasonable investigation)結果、およびこのような請求人の主張を裏付ける追加事実を確認する陳述書(verified statement)を提出しなければならない。不使用が明白であると判断される場合、USPTOは商標権者に反対証拠あるいは正当な不使用の証拠を提出することを要求する手続を開始することができる。USPTOが問題の商標登録の指定商品/サービスの抹消を決定した場合、商標権者は商標審判部(TTAB)に控訴することができる。USPTOが登録の維持を決定した場合、排除効(preclusive effects)を有し、問題の商標登録に対して追加的な異議申立が不可である。USPTOが不使用が明白であると判断される情報を発見した場合、USPTOは自発的に商標登録の抹消手続を開始することができる。

3.再審査請求制度 (Ex Parte Re-examination)

TMA 16B条3は、登録商標が一部または全部の指定商品/サービスに対して基準日(relevant date)当日、あるいは基準日前に商業的に使用されなかった場合、再審査請求を許与する4。ただし、再審査請求は、商標登録の抹消手続とは異なり、登録日から5年以内に請求しなければならない。16A条と類似して利害関係者でなくとも、USPTOを含む誰でも、確認陳述書と共にこれを裏付ける証拠を提出して再審査を請求することが可能である。USPTOは一見、証拠が確実な事件(prima facie case)であるか否かを決定することとなり、このような決定は最終的かつ再検討不可(final and non-reviewable)である。制度と商標権者の答弁、登録日前の不使用の有無に対する決定により、USPTOは異議が申立てられた商標の指定商品/サービスを取消すこととなる。使用宣言日を基準として商標が使用されたことが明らかになった場合、それ以上問題の商標に対する追加的な異議申立は不可である。

上記で言及した取消手続は、2021年12月27日に施行され、「施行日または施行日前後に登録された全ての商標」に適用される。

上記内容以外にも、改正法は既存の暫定拒絶通知の対応期間である6ヶ月を最大60日まで短縮することができる柔軟性を与えて急増する不使用商標を迅速に整理できるようにし5、商標侵害に対する商標権者の権利強化のために回復不可能な損害推定規定6を導入して、商標権侵害の成立時に商標権者が使用差止命令を獲得することを容易にした。

ただし、今回の改正法による商標取消手続の簡素化などの使用主義の強化により、今後米国に商標を出願する計画がある場合には、実際使用しているか、使用しようとする商品/サービスに限定して出願する必要があり、現在米国で登録商標を所有している場合には、誰でも不使用登録商標に対する取消を請求できる制度が新設されたため、これに対する効果的な対応のために持続的な使用および正当な使用証拠確保に徹底した管理と注意を要する。

 


 1  15 U.S.C. § 1051(f).
 2  H.R. Rep. No. 116-645, at 3-4 (2020).
 3  H.R. Rep. No. 116-645, at 4-5 (2020).
 4  基準日(relevant date): 商標出願ベースが実際使用基盤「Section 1(a) Actual Use」である場合は出願日であり、今後使用意図基盤「Section 1(b) Intent to Use」である場合は、出願人が使用宣誓書を提出した日付または使用宣誓書の提出期限満了日である。
 5  H.R. Rep. No. 116-645, at 2 (2020).
 6  H.R. Rep. No. 116-645, at 6 (2020).