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中国専利法第4次改正
中国弁理士 元慧蘭

第4次中国専利法改正案(中国では「特許/実用新案/意匠」を通称して専利としている。)が2020年10月17日に中国全国人民代表大会常務委員会を通過した(2021年6月1日施行)。2014年から始まった中国専利法第4次改正は、2018年に改正案草案が完成し、3次の審議を通過して最終確定した。これまで中国は知的財産権の保護を強化しようとしたが、その効果は特許権者の期待には至らなかった。したがって、今回の改正法は特許権者の権益保護を強化し、特許実施と応用を促進し、登録制度を改善して社会の創造革新活動を法律的に保障するようにした。概略的な改正内容は以下のとおりである。

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改正趣旨

改正の内容

利法

1

専利権者の権益保護強化

・故意の専利権侵害行為に対して1~5倍の懲罰的損害賠償を適用
・法定損害賠償額の上限を100万中国元から500万中国元に引き上げ

第71条第1項および第2項

・専利権侵害事件の訴訟時効を延長:2年→3年
-2021年1月1日から施行される中国民法典の一般民事訴訟の訴訟時効が3年に延長され、これに符合するように改正

第74条

・一部の専利詐称行為に対して地方の法執行機関の賦課可能罰金を引き上げ
‐違法所得の4倍以下→5倍以下
‐違法所得がないか、または5万中国元以下の場合、賦課可能最高額:20万中国元→25万中国元

第68条

・専利詐称行為ではない一般の専利権侵害行為に対して、当事者が請求時、国家知識産権局または地方の市場監督管理局が紛争事件を処理可能
-ただし、専利権侵害に関する行政措置に対して地方の専利権侵害法執行機関の権限強化の議論があったが、実質的変化はなし

第70条

・侵害者が証拠保有時、専利権者の証拠収集が困難であることを考慮して人民法院が侵害者に関連資料の提出を命じ、侵害者が応じない時は原告の主張に基づいて損害賠償額を認定
-専利権侵害による損害立証責任に対して専利権者の立証責任を緩和
-既に最高人民法院の司法解釈により実施されてきたことを今回の改正法に明文化

第71条第4項

・実用新案・意匠権の侵害時、専利権者・利害関係者以外に侵害と主張された者も専利評価報告書を侵害判断機関に提出可能
-無審査登録による実用新案、意匠権の侵害主張の濫用抑制、および不良権利に基づいて侵害と主張された者の防御権強化

第69条第2項

・薬品の販売審査評価批准段階時、薬品販売許可申請者と当該薬品関連の専利権者・利害関係者間の紛争に対して、紛争当事者が人民法院に訴を提起して判決を求めたり、専利行政部門に行政裁定・決定を要求可能
・人民法院で効力のある判決時、薬品監督管理部門が一定期限内に関連薬品の販売許可の可否を暫時保留決定可能
・薬品監督管理部門と専利行政部門で紛争解決の具体的な連携方法を共に制定して申請段階で紛争解決可能
-薬品専利紛争の初期解決関連規定の新規導入

第76条

2

専利の実施と応用を促

・職務発明制度と関連して使用者の職務発明の出願の権利、および専利権に対する処分権を強化し、使用者の関連発明の実施と応用を促進するための根拠規定の新設

第6条

・使用者(職務発明の専利権者)の権限強化に相応して、職務発明を完成した発明者・設計者(従業員)に対する補償方式の具体化

第15条

・専利権の開放許可制度の導入(専利権者が自ら保有専利権に対する通常実施権者を公開募集)
・開放許可の申請要件、実施権の獲得要件および権利と義務を規定
-専利行政部署による開放許可公表を通じて専利権者の技術内容の供給と実施者の需要をマッチングさせて専利権実施所要費用を低め、専利権の対象技術に対する実施接近性がより容易になるように誘導

第6章 (専利実施特別許可)

第48条乃至第52条

・信義誠実の原則の適用を明文化
-専利権乱用を防止し、公共の利益を図り、経済社会秩序を維持

第20条

3

専利審査制度の強化

・意匠保護制度の改善(国際的傾向に従い、他人の物品のうち、重要な部分の設計盗用防止のため)
-意匠専利存続期間の延長:出願日から10年→15年
-意匠専利の国内優先権認定:6ヶ月
-部分意匠制度の導入

第2条、第29条、第30条、第42条

・存続期間延長登録出願制度の導入
-最長5年まで延長可能であるが、延長となった専利の存続期間は販売許可後から14年を超過不可
-薬品の販売審査評価批准のための所要時間補償のために販売許可を受けた薬品関連専利の存続期間を補償

第42条

・国の緊急状況または非常時は新規性喪失例外に該当するようにする

第24条