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ドプジュク事件にみる先使用商標の保護方案
弁理士 元俊豪

最近、ドプジュク事件が社会的に大きな波紋を広げた。放送を通じて「ドプジュク」を作った慶尚北道浦項(ポハン)市の食堂の社長が関連商標を出願する前に、第三者(商標の盗用者)が先に「ドプジュク」商標を出願してこれを使用した事件である。このように、自営業者や小規模事業者が商標を出願せずに当該商標を使用している中、第三者が当該商標権を先占して紛争に巻き込まれるケースが頻繁に発生する。この場合、商標の先使用者が取ることができる措置を攻撃的な手段と防御的な手段とに分けて下図を通じて説明する。

上図に示すように、先ず、商標の先使用者が当該商標に対する権利を確保するための攻撃的な手段は次のとおりである。攻撃的な手段は防御的な手段に先立って実施することが望ましい。つまり、優先的に商標出願または商標買収を行っておいてこそ、また他の商標盗用者が現れても防御が可能である。また、商標権確保時期を最大限操り上げて事業的に不都合がこれ以上発生しないようにするために必要である。

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攻撃的な手段 内容  

1

商標買収

・盗用された商標を譲受して当該商標権を確保
・商標出願日をそのまま認定された状態で自己の商標として登録→類似商標の後出願時に登録の可能性↑
・ドプジュク、ペンス事件のように商標の先使用者に有利な世論が形成された時には出願人/商標権者の変更が容易、そうでなければ無断出願した第三者の協力が必要

2

商標出願

・商標出願時には商標盗用者の出願に比べて後出願ではあるが、商標盗用者の出願が拒絶されれば、先出願の地位がなくなり、商標の先使用者の出願は登録可能
・商標の先使用者の出願が遅れれば、また他の商標盗用者がまた他の商標出願することがあり得、当該商標の権利確保時期が遅れる

一方、防御的な手段として商標盗用者の商標出願登録を阻止したり商標登録を無効にする必要がある。そのためには盗用された商標が如何なる状態にあるのか把握が必要である。これを多様な場合に分けて以下で説明する。

1. 盗用された商標が特定人の出所表示と認定される場合

商標法では先出願主義に従うため、先出願した者が優先的に商標登録を受けることができるが、先出願の商標であっても、その商標が先出願者でなく特定人の出所表示として認識されている商標であれば、次の商標法規定により登録を受けることができない。このような場合を下表に示す。

フロー図

商標法条項

条文内容

第34条第1項第9号

他人の商品を表示するものであると需要者に広く認識されている商標と同一・類似の商標をその他人の商品と同一・類似の商品に出願した場合

第34条第1項第11号

需要者に顕著に認識されている他人の商品や営業と混同を生じさせたり、その識別力または名声を損傷させる虞がある商標

第34条第1項第12号

商品の品質を誤認させたり、需要者を欺瞞する虞がある商標

第34条第1項第13号

国内または外国の需要者に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標(地理的表示は除く。)と同一・類似の商標であって、不当な利益を得ようとしたり、その特定人に損害を加えようとするなど、不正な目的をもって使用する商標

審決や判決では特定人の出所表示としての認識が必ずしも全国的である必要はないとして立証の程度を緩和させる傾向を示している。一方、商標の先使用者が使用中である商標や商号などを登録を受けることができなかったとしても、その商標や商号が商標の先使用者の商品または営業に関する出所表示として消費者に認識される程度に広く知られていれば、不正競争防止法により法院に使用差止を請求することができる。また、法院に損害賠償請求も可能であり、特許庁の行政措置を通じて商標盗用者の無断使用に対する措置が可能である。

2. 盗用された商標の出願人と業務関係がある場合

この規定は2014年に新設された規定であって、商標の先使用者と同業関係、雇用関係または取引関係などにある者が当該商標を先出願した場合、当該商標出願の登録を禁止している。この条項は商標の周知性や特定人の出所表示の立証とは関係なく、信義則に反する商標出願の登録を防止するために設けられた。このような事例は、同業関係の清算時に当該商標権の帰属が同業契約書または清算契約書などに明確でないため、真正な権利者の立証が必要な場合にも適用される。関連事例において法院は商標創作過程および同業契約の決裂前後の状況などを踏まえて本条項の適用有無を考慮する。

フロー図

商標法条項

条文内容

第34条第1項第20号

同業・雇用など契約関係や業務上取引関係またはその他の関係を通じて他人が使用したり使用を準備中の商標であることを知りながら、その商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品に登録出願した商標

3. 盗用された商標の先使用立証の可否

登録商標を正当な権源のない者が登録商標の権利範囲内で使用した時には商標権侵害が成立する。しかし、商標法には次のように、先使用により商標を継続して使用する権利を付与する。したがって、商標権者の出願日前に当該商標を使用したか否かを詳細に確認する必要がある。

フロー図

商標法条項

条文内容

第99条第1項第1号・第99条第2項

自己の姓名商号など人格の同一性を表示する手段を商取引慣行に従って商標として使用する者であって、不正競争の目的なしに他人の商標登録出願前から国内で継続して使用している者は、当該商標をその使用する商品に対して継続して使用する権利を有する。

上記の場合に該当すれば、商標出願または商標登録の有無により次のような措置が可能である。

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法的状態

防御措置の類型

担当部署

実施要件
1

出願中

情報提供

特許庁

商標登録決定前まで

2

異議申立

特許庁

出願公告日から2ヶ月以内

3

登録維持

無効審判

特許審判院

・登録日から5年以内:商標法第34条第1項第9号、商標法第34条第1項第11号適用時

・常時:商標法第34条第1項第12号、第34条第1項第13号、第34条第1項第20号適用時

再びドプジュク事件へ戻ると、放送を通じてドプジュクのメニューが知られた浦項の食堂の社長がドプジュク関連商標を出願する前に、商標盗用者が先にドプジュク商標を出願した。したがって、浦項の食堂の社長は先出願されたドプジュク商標に対して情報提供を通じて当該商標の登録を阻止することができる。しかし、情報提供を通じて先出願されたドプジュク商標が必ず拒絶されるという保障はない。このように事案が複雑にならないよう、事業前に事業と関連した商標は、先制的に出願して登録を受けることが望ましい。