中国国家知識産権局は新技術の変化に適応し、特許審査品質および審査効率を向上させるために2019年11月1日より施行される改正<専利審査指南(特許審査ガイドライン)>を発表した。その内容のうち、分割出願に対する改正事項を考察する。
1. 消極的再分割出願の提出期間に対する改正事項
本改正は、再分割出願のうち、消極的再分割出願(passive divisional application、出願人の自発的分割出願でなく、審査官が分割出願通知書を発行したり、審査意見通知書で分割出願に単一性の欠陥が存在すると指摘して、出願人が審査官の通知や審査意見により再び分割出願をする場合の分割出願)の提出期間に関するものである。
改正<特許審査ガイドライン>第1部第1章第5.1.1節第(3)項第5段落
審査官が分割出願通知書を発行したり、審査意見通知書で分割出願に単一性の欠陥が存在すると指摘して、出願人が審査官の審査意見により再び分割出願を提出する場合、再分割出願の提出期間は単一性の欠陥がある分割出願を基にして審査しなければならない。この規定に符合しない場合、当該分割出願に基づいて分割出願を行うことができず、審査官は分割出願を提出しなかったとみなすという内容の通知書を発行し、事件を終結処理しなければならない。
中国専利審査指南第1部第1章によると、分割出願の提出期間は専利局で原出願に対して専利権付与通知書を発行した日から2ヶ月の期限が満了する前(つまり、登録手続進行期間)と規定されている。このような分割出願に基づいて出願人が再び分割出願(再分割出願)する場合、その分割出願も原出願が係留中である場合(原出願の登録手続進行期間以内)に限って提出可能である。ただし、従来の規定ではこれに対する例外として、「ただし、分割出願に単一性の不備が存在して、出願人が審査官の審査意見により再び分割出願する場合にはその限りではない。」とのみ規定しており、単一性の不備の指摘に対応して出願する再分割出願(消極的再分割出願)の場合は、その分割出願の期間が明確に規定されていなかった。したがって、従来の規定によると、消極的再分割出願は、原出願や1次分割出願がそれ以上係留中である場合ではないとしても、分割出願が可能であると誤解する素地があり、実際にこのような規定の不備点を利用して再分割出願する場合も存在した。しかし、前記改正された審査基準では「再分割出願の提出期間は単一性の欠陥がある分割出願に基づいて審査しなければならない。」と規定することによって、消極的再分割出願も1次分割出願が係留中である場合にのみ出願可能なようにその提出期間を制限している。したがって、改正された審査基準下では、1次分割出願が放棄、取下または拒絶決定が確定した場合のようにそれ以上係留中でない場合、消極的再分割出願が不可能であることに注意しなければならない。
2. 分割出願または再分割出願の出願人および発明者に対する改正事項
本改正は、分割出願および再分割出願の出願人および発明者に関するものである。
改正<特許審査ガイドライン>第1部第1章第5.1.1節第(4)項
(4)分割出願の出願人および発明者
分割出願の出願人は、分割出願提出時、原出願の出願人と同一でなければならない。分割出願に対して再び分割出願を提出した出願人は当該分割出願の出願人と同一でなければならない。この規定に符合しない場合、審査官は分割出願を提出しなかったとみなすという内容の通知書を発行しなければならない。
分割出願の発明者は、原出願の発明者またはそのうちの一部と同一でなければならない。分割出願に対して再び分割出願を提出した発明者は、当該分割出願の発明者またはそのうちの一部と同一でなければならない。この規定に符合しない場合、審査官は補正通知書を発行して出願人に補正を通知しなければならない。期限内に補正しない場合、審査官は取下とみなす通知書を発行しなければならない。
本改正は、分割出願の出願人は原出願の出願人と、再分割出願の出願人は分割出願の出願人と同一でなければならないことを明示している。前記改正内容では「そうでなければ、出願人の変更を立証する書類を提出しなければならない。」という従来の規定が削除され、分割出願の場合、その出願人の変更を立証する書類が提出されても、分割出願の出願人が原出願の出願人と異なってはならない(従来は出願人の変更を立証する書類提出時、分割出願の出願人が原出願の出願人と異なっていても関係がなかった。)。したがって、分割出願の出願人を原出願人と異にしようとする時には、分割出願以降に出願人の変更を申請しなければならない。再分割出願の場合においても同様である。また、原出願の出願人と分割出願の出願人が異なるようになった場合、再分割出願の出願人は分割出願の出願人と同一でなければならない。
改正審査基準によると、分割出願の発明者は原出願の発明者に基づいて審査され、再分割出願の発明者も原出願でなく、分割出願の発明者に基づいて審査される。
改正された審査基準により、分割出願および再分割出願の出願人、および発明者を記載する際には、このような点に注意しなければならない。
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