2019年8月3日から外国人が米国商標出願を行うためには米国代理人を必ず選任しなければならない。これまでは関連規定の不備により米国に居住していなくても、外国で米国特許商標庁(以下、「USPTO」という。)のオンライン出願システムを通じて直接商標出願する場合が多かった。しかし、米国商標出願が急増しつつある中、USPTOに提出する書類に問題点が多くなり、USPTOが37 CFR Parts 2、7、11を改正して今回の措置が行われた。これと共に、米国代理人には弁護士資格証をどの州で受けたのか、現在有効な弁護士協会の会員資格があるのか、懲戒を受けたことがあるのかも共に確認する。この規定は商標の出願だけでなく、商標中間事件対応、マドリッド出願の暫定拒絶などにも適用される。
今回の法改正は、外国国籍の出願人の商標出願が飛躍的に増加したことに1次的な原因がある。下表のUSPTOの米国商標出願統計(2018年12月10日基準)がこれを示している。米国商標出願は本人が直接または代理人を通じて行うことができるが、外国国籍の出願人の本人の出願比率が急激に増加したことが分かる。これは主に中国出願人の影響であるとみられる。
2次的な原因としては、米国商標出願時に必要な提出書類の不備の問題が挙げられる。特に、米国の商標出願に必要な米国内における商標の使用証拠の提出が正確に行われていなかった。例えば、商標が実際に使用されなかったにも拘らず、これを表示した試作品やデジタル変造された見本が提出されてきた。
今回の措置により、外国人は必ず米国代理人を通じて米国商標関連業務を処理しなければならないため、外国人の米国商標出願数は減少すると見込まれる。これと共に、米国商標出願の品質低下の問題も解消されるとみられる。
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