ニュース&イベント

IPニュース

原告の特許権存続期間延長承認申請に対し、特許庁長が輸入品目許可は存続期間延長対象ではないなどの理由で不承認とした処分が違法であるとした事件-大法院2014ドゥ37702判決(2018.10.4.言渡)[特許権存続期間延長申請不承認処分取消請求]
弁理士 姜東求

【判示事項】

原告の特許権存続期間延長承認申請に対し、特許庁長が輸入品目許可は存続期間延長対象ではないなどの理由で不承認とした処分が違法であると判示した事例

【判決の要旨および大法院の判断】

旧特許法第53条は、特許庁長が特許発明を実施するために他の法令により許可を受けたり登録をしなければならず、その許可または登録のために必要な活性、安全性などの試験に長期間を要する場合には特許権の存続期間を延長できるようにすることによって(第2項)、薬事法などによる許可などを受けるために実施できなかった特許発明に対して特許権の存続期間を延長する制度を設けつつ、存続期間を延長できる特許発明の対象・要件その他必要な事項は大統領令で定めるようにした(第3項)。

旧特許法施行令第9条の2第1項は、「特許権の存続期間を延長できる発明は、次の各号の1に該当するものに限る」とし、第1号で「特許発明を実施するために薬事法第26条第1項の規定により品目許可を受けなければならない医薬品の発明」を、第2号で「特許発明を実施するために農薬管理法第8条第1項およ び第9条第1項の規定により登録を受けなければならない農薬または農薬原剤の発明」を規定した。

特許発明を実施するために受けなければならない品目許可には「製造品目許可」(第26条第1項)と「輸入品目許可」(第34条第1項、第3項)があり、特許権存続期間延長申請の対象として製造品目許可を受けなければならない医薬品発明に関して規定しているに過ぎず、輸入品目許可を受けなければならない医薬品の発明に関しては明示的規定を置いていない

存続期間延長制度の趣旨を勘案すると、製造品目許可を受けなければならない医薬品と輸入品目許可を受けなければならない医薬品は、全て活性・安全性などの試験を経て許可などを受ける過程でその特許発明を実施できないという点で差がなく、許可または登録のために必要な活性・安全性などの試験に長期間を要する場合に特許権の存続期間を延長できるとしているに過ぎず、輸入品目許可を受けなければならない医薬品を存続期間延長対象から除外していない

上記のような内容などを総合してみると、旧特許法第53条により存続期間を延長できる特許発明には製造品目許可だけでなく、輸入品目許可を受けなければならない医薬品発明も含まれると解釈することができるため、本事件処分事由のうち、輸入品目許可の場合、旧特許法施行令が定めた延長対象に該当しないという部分は本事件委任条項の内容に反して行われたものであって違法である。

【事案の概要】

特許権存続期間延長出願制度が施行される以前に施行されていた存続期間延長承認申請制度に関する事件で、原審は存続期間延長対象に製造品目許可のみを規定している1987年の特許法施行令第9条の2第1項(本事件条項)が一部違憲、無効であるとみなして被告の不承認処分が違法であると判断したことに対し、輸入品目許可を受けなければならない医薬品発明も存続期間を延長できる特許発明に含まれるとみなして原審の結論に肯いた事案である。

【判決の意義】

本判決は、旧特許法第53条第2、3項により存続期間を延長できる特許発明には製造品目許可だけでなく、輸入品目許可を受けなければならない医薬品発明も含まれると解釈することができ、旧特許法施行令第9条が医薬品輸入品目許可に関する薬事法第34条第1項を規定していないことは、立法の不備とみなすことができることを判示したものである。