殆ど全ての国が一定の登録要件を備えた特許出願にのみ登録を許与する。このような登録要件の中で代表的なものが新規性である。つまり、登録要件上、特許出願された発明は、特許出願前に公知となったものでなく、新たなもの(new)でなければならない。ただし、新規性要件を厳格に適用する場合、特許登録が不可能な特許出願が発生するため、発明を保護・奨励して産業発展に寄与しようとする特許法の趣旨に反することがある。したがって、殆どの国では新規性喪失の例外規定を設けて特許を受けることができる権利を有する者による公知化やこの者の意思に反する公知化などの行為に対しては、新規性が喪失してもこれを救済することのできる猶予期間を設けている。つまり、出願対象である発明が公知となっても猶予期間内にさえ特許出願すれば、一定の要件下で当該公知事実は当該特許出願の審査時に考慮されない。全世界の国別の新規性喪失猶予期間は下表のとおりである。
NO
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猶予期間
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国名
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備考
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1
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規定なし
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キプロス、モンゴル、セントルシア、シリア
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2
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6ヶ月
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アルバニア、アンドラ、オーストリア、ベルギー、ボスニアヘルツェゴビナ、ブルガリア、中国、香港、クロアチア、チェコ、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マダガスカル、モルドバ、オランダ、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、タジキスタン、マケドニア、英国、ウズベキスタン、ARIPO、EAPO、EPO
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ただし、中国は政府指定の国際展示会または学術大会などにおける公知に限定
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3
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12ヶ月
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韓国、米国、日本、アルジェリア、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、バーレーン、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ブータン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ、エクアドル、エルサルバドル、エストニア、ジョージア、ガーナ、グアテマラ、ホンジュラス、インド、ヨルダン、ケニア、キルギス、ラトビア、マレーシア、マルタ、モーリシャス、メキシコ、モロッコ、モザンビーク、ニカラグア、オマーン、パキスタン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、トリニダードトバゴ、チュニジア、トルコ、ウクライナ、ウルグアイ、ザンビア、OAPI、GCC
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日本は2018年 6月9日以降の出願から12ヶ月に変更(既存6ヶ月)
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4
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期間無制限
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南アフリカ共和国
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興味深い事実は、12ヶ月の新規性喪失猶予期間は米国の影響なのか、主に米大陸と東南アジアの国で立法化されているということだ。反面、一部の例外は存在するが、大体欧州の国は6ヶ月の新規性喪失猶予期間を設けており、これは中国にも同一に適用されている。
*記事出処:WIPO
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