2018年10月26日に開かれた中国の第13期全国人民代表大会常務委員回第6回会議において、知的財産権民事訴訟および知的財産権行政訴訟の上訴手続に対する決定案が通過した。
中国現行法によると、中国で特許などの技術的専門性が強い知的財産権関連事件に対して民事訴訟または行政訴訟の第1審判決に不服とする場合、第1審法院が所在する省の高級人民法院で審理することになっていた。しかし、決定案の通過により、2019年1月1日からはこれを全て最高人民法院が審理および判断する。知的財産権民事訴訟と知的財産権行政訴訟の対象は次のとおり区分される。
NO
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訴訟類型
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対象
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1
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知的財産権民事訴訟
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発明専利、実用新案専利、植物新品種、集積回路配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウェア、独占
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2
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知的財産権行政訴訟
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専利(発明、実用新案、意匠)、植物新品種、集積回路配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウェア、独占
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また、確定判決に対する再審手続も最高人民法院が管轄する。第2審法院として各省の高級人民法院の確定判決に対する不服は、既存のとおり最高人民法院が再審法院となる。しかし、第1審判決が確定判決である場合、今までは確定判決を下した中国人民法院の上級法院である高級人民法院で再審を担当したが、2019年1月1日からはこれを最高人民法院が管轄する。最高人民法院は、その下級人民法院に再審を進行するように指示することもできる。
今まで中国では専門性が強く、技術内容が複雑な特許などの事件に対して統一した基準による一貫した判決方案が検討されてきたが、今回の決定により、民事訴訟と行政訴訟の第2審管轄が最高人民法院の知的財産権法廷へ集中する予定である。今回の決定は、知的財産権の登録および侵害に対する判断基準を統一し、知的財産権訴訟の審判効率と品質を高め、司法機関の公信力を実質的に改善しようとする中国当局の努力とみることができる。
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