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大法院2011フ3872判決(2012.3.15.言渡)【権利範囲確認(商)】
弁理士 張仁善

権利範囲確認審判で商標法第57条の3の‘先使用による商標を継続して使用する権利’の存否に対して判断することができるか否か(消極)

大法院は積極的権利範囲確認審判で商標法第57条の3で規定している‘先使用による商標を継続して使用する権利’(以下、‘先使用権’という)を判断対象として、審決をすることができるか否かおよび先使用権の適用対象になり得る商標権の範囲に対して判示した。

先使用権とは、2007年商標法改正時(法律8190号、2007年7月1日から施行)商標法第57条の3で導入された制度である。先使用権とは、他人の登録商標と同一または類似する商標をその指定商品と同一または類似する商品に使用する者であって、不正競争の目的でなく他人の商標登録出願前から継続して使用し、その結果、他人の商標登録出願時に国内需要者間にその商標が特定人の商品を表示するものと認識されている要件を満たした者が当該商標をその使用する商品に対して継続して使用することができる権利をいう。

結局、今般の判決は、権利範囲確認審判で被請求人が商標権侵害を主張する商標権者に対抗して自分が先使用権者であることを主張する場合、特許審判院または法院はこれに対して判断すべきかという問題と関連している。

1.事案の概要

本事件の当事者であると共に登録商標“”(以下、‘登録商標’という)の商標権者である甲が乙を相手に乙が使用する標章“”(以下、‘確認対象標章’という)が登録商標の権利範囲に属するとしながら積極的権利範囲確認審判を請求した。

乙は本件審判手続で商標法第57条の3の先使用権を主張し、特許審判院は乙が不正競争の目的でなくて登録商標の出願日以前から使用して乙の識別標識として知られたので、登録商標と確認対象標章が類似してはいるが、先使用権を認めて権利範囲に属するといえないとし、棄却審決をした。

これに対して甲が特許法院に不服し、特許法院は同一な趣旨で原告の請求を棄却したが、大法院は特許法院の判決を破棄し、その理由は次の通りである。

2.大法院の判断

大法院は本件で“商標権の積極的権利範囲確認審判は、審判請求人がその請求で審判の対象とした確認対象標章に対して商標権の効力が及ぶか否かを確認する権利確定を目的としたものであり、審決が確定した場合、審判の当事者のみならず、第三者にも一事不再理の効力が及ぶ。ところで、積極的権利範囲確認審判請求の相手が確認対象標章に関して商標法第57条の3の‘先使用による商標を継続して使用する権利’(以下、‘先使用権’という)を有しているということは、対人的な商標権行使の制限事由に過ぎず、商標権の効力が及ぶ範囲に関する権利確定とは無関係であるので、商標権侵害訴訟でない積極的権利範囲確認審判で先使用権の存否に対してまで審理・判断することは許容されない”と判示して、権利範囲確認審判で先使用権の存否に対して判断することはできず、

“商標法第57条の3の‘先使用による商標を継続して使用する権利’は2007.7.1.前に出願・登録された登録商標に対しては上記規定が適用されない”とも判示して、先使用権の適用対象商標権の範囲に対しても明示した。

3.本判決の意義

大法院は本判決で商標法第75条の権利範囲確認審判が商標自体の技術的範囲を確認する事実確定を目的としたものではない、登録商標権の効力が及ぶか否かを確認する権利確定を目的とするが、対人的関係で登録商標権の侵害の要否を直接的に判断するものではないと認めるべきであるとの既存の立場と同一な観点で判示した。つまり、権利範囲確認審判は登録商標と確認対象標章間に類否、および商標法第51条(商標権の効力が及ばない範囲)の適否等のように、本審決が確定する場合に対世的効力が発生して当該審決の効力が第3者にも及ぶようになるので、かかる範囲を確定するためのものであり、本判決のように先使用権または真正商品の並行輸入として許容されるか否か(特許法院2002号4545判決-2002.11.7.言渡-)のように主観的範囲まで判断する事案ではないと明示している。つまり、商標権の侵害の要否は民事訴訟で扱われるべき問題であるという点を明確にしたものである。

また、改正法附則の先使用権の対象となるのは他人の登録商標が改正法の施行日である2007年7月1日以降に最初に出願したもののみを対象とすることを明確にした意義がある。

結果的に、本件大法院の判決は2007年に改正されて商標法上認められた法定通常使用権制度が侵害訴訟で扱う問題であることを明確にし、先使用権の適用対象を明確にしたことに意義があると判断される。