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米国の特許情報提供制度が便利になる
米国弁護士 金憲俊

2012年9月16日から米国特許庁に提出する特許情報提供制度が変更となり、係留中の特許出願に対する情報提供の提出が便利になる。

米国では現在3種類の特許情報提供制度があるが、そのうち韓国で使用される特許情報提供制度と類似の出願係留中に提出する特許情報提供制度をThird Party Submission(第3者提出)と称する。

既存のThird Party Submissionは使用しにくい期限制限をしている。一旦、特許情報を提出することができる時期が出願後18月の公開から2月内のため、競争会社の特許出願が公開されたことを知った後に引用資料(Prior art)を探し、必要であれば英文に翻訳して期限内に提出するということは、ほとんど不可能であった。

そして、既存のThird Party Submissionは、提出することができる資料に対して多くの制限がある。関連引用資料(prior art)と翻訳文だけを提出することができるのみで、提出する理由と係留中の特許との関連性を説明する資料は提出できなかった。できることは引用資料に重要でない部分を消す(redact)方法として重要部分を強調することができる程度である。過重な業務に追われている審査官等が引用資料との関連性を説明する資料なしに引用資料を受け取った際に、どれくらい細密に検討するのかは疑問である。

米国特許庁はかかる問題点を補完する新たなThird Party Submission制度を2012年9月16日から適用すると公知している。新たなThird Party Submissionの変更された要件は次の通りである。

1.提出期限

1)特許出願が公開(18月公開)された日から6月内に提出すること。

2)特許出願の請求項に関連して最初の拒絶通知を発行した日から6月内に提出すること。

上記1)と2)のうち、遅い日付を適用する。

3)仮に上記1)と2)の期限前に特許出願が登録査定(Notice of Allowance)されれば、登録査定日に提出期限が満了する。

通常、最初の拒絶理由が出願日から20~24月の時点に発行されるので、大部分は出願が公開される18月の時点から最初の拒絶理由が発行された後6月になる26~30月の時点との間に提出することができるといえるが、約5~10%の米国出願が出願後2年内に拒絶理由なしに登録査定されることを考慮すれば、安全にするためには出願公開後6月内に提出することを推薦したい。

2.提出可能な資料

1)特許文献およびその翻訳文

2)関連刊行物およびその翻訳文

3)係留中の特許出願との関連性を簡略に説明する書面

3.その他改正された事項

1)官納料

· 最初の情報提供であって、3つ以下の文書を提出する場合には官納料が免除される。

· 10の文書単位で官納料180USドルが賦課される。

2)既往には書面提出のみが可能であったが、今後は電子提出も可能である。

3)既往には情報提供者が出願人にも情報提供の写しを送達しなければならなかったが、今後は不要である。

4)放棄された出願に対しても情報提供可能であり、提出された資料は放棄された出願包袋に含まれ、後ほど放棄された出願が復活する場合に考慮される。

ご参考までに、Third Party Submissionを通じて提出された情報は禁反言原則(Doctrine of Estoppel)の対象にならない。故に、情報提供目的で提出した引用資料を審査官が反映しなくても後ほど再審査(Reexamination)または特許訴訟で特許無効関連証拠として再使用することができる。Third Party Submissionの緩和された条件により、韓国のように米国でも特許情報提供制度の使用需要がさらに増えるものと見込まれる。