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外国語からなる原材料名称の記述的標章に該当するか否かの判断-特許法院2017ホ5764判決(2017.11.29.言渡)(上告審理不続行棄却)
弁理士 柳汀玟

1. 事件の背景

本事件登録商標

登録番号

登録日

指定商品

(ハングル:PDRNのハングル音訳)

40-0866479

2011-05-27

(5) 薬剤用サンバーン治療剤など

(10) 薬剤身体挿入用医療装置など

2012-05-31

(3) スキンケア用化粧品など

 

[原告、上告人] A

[被告、被上告人] B

[原審判決] 特許審判院2016ダン4143審決(2017.7.3.言渡)、特許法院2017ホ5764判決(2017.11.29.言渡)

[争点] 本事件登録商標の商標登録日および指定商品追加登録日以降、「PDRN」が指定商品の原材料を普通に使用する方法で表示した記述的標章に該当することとなったため、「PDRN」およびハングル音訳「피디알앤」の結合で構成された本事件登録商標は、旧商標法(2016.2.29.法律第14033号で全部改正される前のもの)第6条第1項第3号および第71条第1項第5号により後発的に無効とならなければならないと判断した事例

2. 審判院および法院の判断

イ.特許審判院

本事件登録商標の登録日以降である2013年12月31日に、「PDRN」はインターネット、ニュース記事、研究論文などで化学物質Polydeoxyroibonucleotideの略語であると共に皮膚および細胞治癒物質として多数紹介されている。ひいては、医療機関などでは「PDRN」を細胞増殖および傷治癒のための注射剤の薬剤として実際に使用している。

本事件登録商標は、2013年12月31日を基準に旧商標法第6条第1項第3号に該当することとなったため、旧商標法第71条第1項第4号により当該時点から登録が無効とならなければならない。

ロ.特許法院

本事件登録商標の登録日および指定商品追加登録日以降、「PDRN」をPolydeoxyroibonucleotideの略語として使用したインターネット、ニュース記事、研究論文などが多数掲載されており、専用実施権者も「PDRN」を略語であると共に原材料表示として使用した。「PDRN」は、指定商品の原材料表示として実際に使用されており、原材料は商品の流通過程において通常必要な表示であるため、誰でも使用する必要がある。したがって、「PDRN」は、本事件登録商標の登録日および指定商品追加登録日以降、指定商品の原材料を普通に使用する方法で表示した記述的標章に該当する。

本事件登録商標は、2016年1月1日を基準に旧商標法第6条第1項第3号に該当することとなったため、旧商標法第71条第1項第4号により当該時点から登録が無効とならなければならない。

ハ.大法院

上告人の上告理由に関する主張は、上告審手続に関する特例法第4条に該当して理由のないことが明白であるため、上告を棄却する。

3. 本判決の意義

以前の大法院判例は、外国語からなる標章は客観的な意味が商品の品質などを示し、実際にそのような意味で使用されていれば記述的標章に該当するとしており(大法院2002フ192判決(2003.5.13.言渡)、89フ513判決(1989.8.8.言渡)など)、原材料名称は標章の観念・指定商品との関係・取引社会実情などを考慮して客観的に判断するが、ただし、指定商品の原材料として実際に使用されたり一般の需要者や取引者が原材料として使用されると認識していれば記述的標章に該当するとした(大法院92フ1714判決(1993.4.27.言渡)、大法院2004フ3454判決(2006.4.27.言渡)など)。

本件特許法院判例は、外国語からなる原材料名称が記述的標章に該当するのかを判断するにあたって、名称が国内で実際に略語で使用されているのか、商標権者乃至使用権者が略語をもって原材料表示として使用しているのか、当該名称の化学物質が実際指定商品の原材料表示として使用されているのかなどを総合的に考慮したところ、以前の大法院判例と意を一にする。

ひいては、外国語からなる原材料名称が略語に該当して専門家でなく一般の需要者がその意味を直感できない場合でも、名称が指定商品の原材料表示として実際に使用され、誰でもこれを使用する必要があれば、特定人に独占排他権を認めることができないと判断することによって、旧商標法第6条第1項第3号の公益的趣旨を考慮した。