英国は、2018年3月13日に「産業デザインの国際登録に関するハーグ協定(以下、ハーグシステムという。)」に加入した。WIPOによると、英国はハーグシステムの68番目の参加国であり、協定の効力は加入3ヶ月後である6月13日から発効される。
ハーグシステムは、デザイン国際出願手続を単純化し、出願費用を節減するための目的で作られたが、出願書類をWIPOまたは受理官庁に1回のみ提出しても複数の国家に出願したのと同一の効果を享受することができる。ただし、ハーグシステムは、出願人がハーグシステム加入国の国民であるか、出願人が加入国に住所や居住地あるいは真正かつ実効的な産業上または商業上の営業所を有していることを要求しているため、多少閉鎖的という指摘も受けている。
去る2016年6月23日、英国のEU脱退決議以降、特別な後続措置が明確でない状況で、英国の今般のハーグシステム加入は、少なくとも国際デザイン出願の側面からは、EUとの関係を明確にしたものと思われる。今まで英国の出願人はEU加入国民の資格でハーグシステムの恩恵を享受することができ、多少手続上の煩わしさが発生したが、今年6月13日からは独立した加入国の国民として直接ハーグシステムを利用することができる。特に今年6月13日からはEUと英国を個別的に指定して国際出願が可能な点が以前との大きい差である。
IPOの最高経営者Tim Moss CBEは、今般の英国のハーグシステム加入により英国の企業が以前よりも効率的に国際デザイン出願が可能となり、英国以外の出願人の英国への積極的な進出を促すきっかけとなると期待感を表した。特に知識財産の保有有無が重要なスタートアップ段階の企業に今般の英国のハーグシステム加入が有する意味が大きいと思われる。参考までに、英国でデザイン関連産業が占めるGDP比重は11%程である。
一方、韓国は、2014年7月1日からハーグシステムによる国際出願制度を施行中である。当時WIPOは、多出願国の一つである韓国の加入をきっかけとして、米国や日本など他の多出願国も相次いでハーグシステムに加入すると期待した。韓国の加入が本当に影響を与えたのか、米国と日本は2015年5月13日付でハーグシステムに加入した。英国のハーグシステム加入が他の欧州国のハーグシステム加入に繋がるのか見守るべきである。
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