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改正された中国の営業発明(BM)審査指針
中国弁理士  康慧莲

営業発明は、通常、IT技術を利用して構築されたビジネス関連発明を意味する。営業発明(business method、BM)の特許性認定可否に対する論議は相当に多いが、米国をはじめとする各国では概してその特許性を厳格に判断している。これと関連して営業発明に対する中国の審査基準を考察する。

第一に、中国では米国特許庁のMAYO TESTと類似して営業発明が特許を受けることのできる発明のカテゴリーに属するか否かを判断する。つまり、営業発明が中国特許法第2条第2項で規定する製品、方法またはその改良に対する新規な技術方案であるか否かを判断する。もし、これに該当しなければ特許を受けることができない。

第二に、営業発明が中国特許法第25条第1項第2号で規定する特許不登録事由である「知的活動の規則および方法」に該当するか否かを判断する。もし、これに該当すれば特許登録が不可能である。一般に、純粋な営業発明、つまり、コンピュータプログラムとインターネットなどのIT技術を活用していない発明はこれを根拠として拒絶する。

第三に、当該営業発明に対して中国特許法第22条で規定する新規性と進歩性などの特許登録要件を判断する。現在まで営業発明にのみ特別に適用する進歩性判断基準は設けられていない。

従来は中国特許庁で審査官に自由裁量権を付与して営業発明が上記の第一の事由である中国特許法第2条第2項の技術方案に該当しないという理由を根拠として拒絶してきた。つまり、中国特許法第2条第2項の技術方案は、技術的な特徴を意味するが、営業発明は技術的な特徴を有さないとみなしたためである。

しかし、2017年中国特許審査指針では、営業方法と規則を含みつつこれを実現するコンピュータ技術を同時に含む営業発明は、上述の第一の条件と第二の条件を充足するという点を明確にした。このような変化は、Tencentの中国特許出願(使用者情報獲得方法、電子商取引システムおよび関連設備)の拒絶決定不服審判の判決文からも分かる。この審判で中国特許庁は、Tencentの当該特許出願を中国特許法第2条第2項により拒絶せず、進歩性欠如を理由として中国特許法第22条第3項を挙げて拒絶した。つまり、中国特許庁がこの営業発明に対しては上述の第一の要件と第二の要件である発明の成立性を認めた。

要約すると、中国特許庁は、上述の内容を備えた営業発明に対して発明の成立性を認めるが、ただし、営業発明の技術的特徴に対しては中国特許法第22条の新規性と進歩性有無を判断する。ただし、営業発明に含まれている営業方法の登録要件はまだ考慮していないようであり、これをまだ具体的に規定してもいない。このような中国審査基準の変化は、MAYO TESTにより営業発明に対する発明の成立性を厳格に評価する米国審査基準に比べてその登録要件を多少緩和したものとみなすことができる。