ニュース&イベント

IPニュース

トレードドレスと事業アイディアを保護するように改正された不正競争防止法
弁理士 李鎔圭

2018年7月17日から改正施行される不正競争防止および営業秘密保護に関する法律(以下、「不正競争防止法」という。)にそれぞれトレードドレス(第2条第1号ナ目およびダ目)と事業アイディア(第2条第1号チャ目)を包括的に保護するための条項が新設された。以下、その内容と趣旨を説明する。

トレードドレス関連―第2条第1号ナ目およびダ目(以下は条文要約)

国内に広く認識された他人の商品または営業であることを表示する標識(商品販売・サービス提供方法または看板・外観・室内装飾など営業提供場所の全体的な外観を含む。)と同一または類似するものを使用して他人の営業上の施設または活動と混同を生じさせるか、他人の標識の識別力や名声を損傷する行為

これは米国のトレードドレス(trade dress)のように商店のインテリア、看板、外部デザインなど営業場所の全体的な外観を保護するために導入された。デザイン保護法の保護対象は一般に物品性があるものに限定され、インテリアデザインなどに対する保護は曖昧であり、デザイン権の回避が容易な利点があった。したがって、今般の制度の導入によりデザインに対するもう少し包括的な保護が可能となった。つまり、個別物品はデザイン保護法により、全体的な雰囲気を不正競争防止法により保護することができる。

事業アイディア関連―第2条第1号チャ目

事業提案、入札、公募など取引交渉または取引過程において、経済的価値を有する他人の技術的または営業上のアイディアが含まれている情報をその提供目的に違反して自分または第三者の営業上利益のために不正に使用するか、他人に提供して使用させる行為。ただし、アイディアの提供を受けた者が提供を受ける当時に既にそのアイディアを知っているか、そのアイディアが同種業界で広く知られた場合にはその限りではない。

最近、多くの機関が入札などを通じて納品企業を選定している。ところが、入札参加企業、特に中小企業やスタートアップのアイディアを何らの補償なく取得して経済的利益を得る事例が少なくないため、これを防止するために本条項が備えられた。特に、中小企業やスタートアップは、技術任置制度などを通じた技術奪取に備えた証明資料の準備にも消極的であったため、今回の法改正が役に立つ。今回の法改正内容は、特許権または実用新案権を獲得し難いアイディアでも、公知となっていなければ保護が可能な点に意義がある。したがって、スタートアップ固有のビジネスモデルが良好に保護を受けることができる。

一方、上記の規定の違反時、同法第10条乃至第12条で規定する差止請求および損害賠償などの措置が可能である。また、特許庁は、今回の改正法施行時にアイディア奪取事件に対する調査を開始して違反行為に対しては是正勧告する予定である