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2018年に新たに変わる韓国知識財産制度・支援施策の紹介-特許分野
弁理士  金炳辰

韓国特許庁は、2018年1月11日に第4次産業革命関連分野の早期権利化の支援、中小・ベンチャー企業の知識財産の競争力の強化などを骨子とする「2018年に新たに変わる知識財産制度・支援施策」を公開した。

2018年に新たに変わる知識財産制度は、1.第4次産業革命関連分野の早期権利化の支援、2.中小・ベンチャー企業の知識財産の競争力の強化および3.対国民サービスの改善などに重点を置いている。以下、今回の知識財産制度の変化で特許と関連した内容を上記の重点事項に基づいて具体的に考察する。

1. 第4次産業革命関連分野の早期権利化の支援

[優先審査対象の拡大]

第4次産業革命分野に対する7大産業分野」が2018年上半期から特許出願の優先審査対象に含まれる

優先審査とは、審査請求された特許出願が優先審査事由を備えている場合、本来の審査請求順位に関係なく優先して審査することをいい、今回の施策を通じて特許出願の技術分野が「第4次産業革命分野に対する7大産業分野」に該当する場合、優先審査が申請可能になる。特許庁は優先審査対象の拡大を通じて従来の平均審査期間である16.4ヶ月を今後5.7ヶ月の水準に短縮させると明らかにしている。

「第4次産業革命分野に対する7大産業分野」は第4次産業分野に対して新たに樹立される特許分類体系であり、現在国際標準化を推進中にある。特許庁で明らかにした「第4次産業分野の7大産業分野」には「AI、IoT、3Dプリンティング、自律走行、ビッグデータ、クラウド、知能型ロボット」の技術分野が含まれる。

2. 中小・ベンチャー企業の知識財産の競争力の強化

[年次登録料の減免拡大]

2018年4月と予定されている今回の「年次登録料の減免拡大」により中小企業などに対する特許・実用・デザイン年次登録料の減免比率および減免期間が増加する。

特許庁は、今回の知識財産制度および支援施策を発表した以降である14日に「特許料などの徴収規則一部改正令案」を立法予告すると発表し、当該改正令案には今回の「年次登録料の減免拡大」のための改正内容が含まれる。

今回の「年次登録料の減免拡大」により、中小企業などの場合、登録特許に対して4~9年目の年次登録料を30%減免する現行の支援体系が「4~20年目の年次登録料を50%減免」するものに拡大される。

このようになると、請求項6個を基準に中小・ベンチャー企業が保有する特許1件当たり20年間の権利維持に要する登録料総額が従来の836万ウォンから445万ウォンの水準に減って特許維持費用の負担が軽減され、これによって中小・ベンチャー企業が核心特許を戦略的に長期間保有する比重が増加すると期待される。

[特許キウム(キウム:育成の意)のリワード制度]

2018年4月に施行予定である「特許キウムのリワード制度」は中小企業などが特許庁に納付した年間出願料および最初登録料総額が基準金額を超える場合、金額規模により一定比率をインセンティブとして提供し、他の手数料の納付時に利用可能にする制度である。

具体的に、中小・ベンチャー企業が特許創出活動として特許庁に年間(毎年1月1日~12月31日)納付する手数料(出願料、審査請求料、最初3年分の登録料)総額が一定基準を超える場合、特許庁が当該企業にインセンティブ(10~50%まで差等)を提供し、これを後で他の手数料の納付時に使用可能にして中小・ベンチャー企業の革新活動を奨励する。

特許庁は、特許出願(特許キウムのリワード)から権利維持(年次登録料の減免)までの全区間にわたって経済的負担を軽減するという趣旨を明らかにしている。

[スタートアップの特許バウチャー]

2018年2月に施行予定である「スタートアップの特許バウチャー」制度を通じて、スタートアップ企業は必要な時期に所望するIPサービスを選択して支援を受けることができる特許バウチャー(500~2,000万ウォンの範囲)の提供を受けることができる。支援を受けることができるIPサービスには、国内外IP権利化、特許調査・分析、特許技術価値評価、技術移転などがある。

タイミングが重要なスタートアップにおいて、IP支援事業の大部分は個別の事業別に申請しなければならず、支援を受けるまでに長期間を要するという短所を補完するために、特許庁はスタートアップ企業が必要な時期に適切なIPサービスを選択して支援を受けることができるようにした。

具体的に、特許バウチャーは、スタートアップ企業別に異なる成長段階などを考慮して小型バウチャー(500万ウォン限度)と中型バウチャー(2,000万ウォン)が提供される予定であり、小型バウチャーは、創業3年未満(事業公告日基準)および前年度売上50億ウォン未満の企業が申請可能であり、中型バウチャーは、創業7年未満、売上100億ウォン未満、および国内IP(特許・実用新案、デザイン、商標)出願または登録1件以上の企業が申請可能である。

一方、小型バウチャーを申請した企業は、書類審査後に面接審査または抽選を通じて対象として選定され、中型バウチャーの場合は、書類審査、現場調査および面接審査を経て選定される予定である。

3. 対国民サービスの改善

[特許先行技術調査結果の提供]

2018年1月から、専門担当者の不足により先行技術調査が困難な中小・ベンチャー企業を対象として特許庁で先行技術調査結果を審査前に提供する示範事業が実施される。

これによって、中小企業などは従来、審査官のみが活用する専門機関の先行技術調査結果を審査着手前に受け取ることができるようになる。

先行技術調査結果を受け取っても、既に出願された明細書上に新規事項を追加することはできないが、提供結果を土台に明細書の自発補正や優先権主張出願などを予め選択することができるという長所がある。