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写真著作権の保護対象要素および侵害の判断基準
米国弁護士 權賢雅

米国大法院が1884年から写真を著作権保護対象と認めたにもかかわらず、写真の著作権原則適用に矛盾が立証されながら、写真著作権は初期から論争の素地になっていた。米国のフリーカメラマンDonald Harney (以下、“Harney”という)が偶然撮った一枚の写真は、このような論争の素地であった、写真家が写真に対して有する著作権および著作権侵害要素に対する判断基準を解釈し説明する判例となった。本事件はHarneyが撮った写真のイメージが映画に使用されながら、これに対してSonyを相手に著作権侵害訴訟を提起し、米国抗訴法院は2013年1月に本事件の判決を下した。

事件の背景

フリーカメラマンのHarneyは、2007年ボストンのとある教会で少女が父親の肩に乗っている姿を撮り、この一枚の写真は1年後、写真の中の少女の父親であるClark Rockefeller/Christian Gerhartsreiterが実の娘を誘拐することによってFBIの指名手配ポスターにHarneyの父と娘の写真が使用されながら大きな話題となった。2010年にSony Pictures Television Inc.(以下、“Sony”という)はRockfeller事件を基に映画を製作し、Harneyの写真とポーズおよび構成が類似するイメージを映画に使用した。これに対してHarneyはSonyを相手に著作権侵害訴訟を提起した。Sonyはこれに対抗し、Sonyが再現した写真とHarneyの原写真は実質的類似性がないと主張した。Massachusetts地方法院は、Sonyの主張に同意してSonyがHarneyの写真に対する著作権を侵害しなかったと判決し、Harneyはこれに抗訴した。

Harneyの写真(左側)とSonyの写真(右側)

法院の判決および解釈

著作権侵害が認められるためには、模倣した作品が著作権によって保護される作品と実質的に類似するというのに十分でなければならず、作品の構成要素のうち著作権の保護対象となる要素だけが保護を受けることができる。したがって、著作権によって保護される作品と、これを模倣した作品が実質的に類似しているか否かを判断するためには、1)作品あるいは写真を構成する要素のうち著作権の保護対象となる要素とそうでないものを区分し、2)作品/写真を構成する要素のうち著作権の保護対象となる要素を模倣したか否かを分析しなければならない。

Massachusetts地方法院は、合理的な陪審員らがHarney写真の独創的な要素がSonyの再現写真と実質的に類似していると見なすかを判断しなければならなかった。二つの写真の精密な分析結果、法院はHarneyが一般的な事実要素である少女が父親の肩の上に乗ったポーズ、少女と父親が着た服、そして彼らが持っている物品に対してはHarneyの創作品ではないため独占的な権利がないとした。Sonyのイメージは父と娘を画面の中央に配置することを模倣したが、このような配置は最小限の独創性構成要素に過ぎず、二つの写真の明暗、色感、背景そして他の細部的な要素が異なるため、合理的な陪審員らが見た時、二つの写真の美的魅力を同一あるいは類似すると見なさないと判断した。第1抗訴法院は、二つのイメージは共に場面の事実的内容は同一であるが、SonyはHarneyが写真で表現しようとする要素は模倣しなかったとした。また、Sonyが使用したイメージはPalm Sundayの象徴もなく、教会を背景にしていないため、Harneyの写真と実質的に類似すると見なすには十分でないと判断し、Massachusetts地方法院の判決に同意してHarneyの抗訴を棄却した。

このような第1抗訴法院の意見および判決は、事実的イメージをキャプチャーしようとする記者、フリーカメラマン、または趣味で写真を撮る者に著作権の保護対象範囲および著作権侵害基準に対してより明確に理解し説明するきっかけとなった。また、法院の意見は、写真の価値と人気が時間の経過によって増加しても著作権侵害を判断するための実質的類似性に対する法的解釈は変わらない点を喚起した。本判決を通じて著作権侵害が認められるためには、二つの作品写真に実質的類似性がなければならず、原写真で著作権保護対象となる要素だけを比較して著作権侵害を判断しなければならないという点を確認した。