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大法院2010ダ58261判決(2013.3.28.言渡)【商標使用禁止など】
弁理士 黄娜妍

1. 事実関係

[原告、上告人] ○○○グループUKリミテッド

[被告、被上告人] 株式会社□□

原告である‘○○○グループUKリミテッド’は、被告である‘株式会社□□’の標章使用行為に対して原告の商標権、著作権侵害および不正競争行為に該当することを根拠として侵害訴訟を提起した。

2. 特許法院の判示内容

イ.原告の登録商標1、2の侵害成否

被告の標章は、デザインとして使用されたものに過ぎず、自他商品の識別標識または商品の出処表示として使用されたものではないので、原告の登録商標1、2の各商標権を侵害したと見なすことができない。具体的な判決内容を要約すれば次のとおりである。

①皿などの製品に表現された図形は、特別な事情がない限り、基本的にデザインや装飾用意匠に過ぎず、商品出処を表示するために使用される標章ではないという点

②被告は被告の標章をそのままの形態でのみ製品に使用するのではなく、製品が皿である場合には被告の標章形態をそのまま使用し、うつわの模様(茶碗やマグカップ)に応じて木の葉の帯文様と花文様を共にまたは分離して配置する方式で使用している点

③被告が製品裏面の底に別途に“”のような出処表示をしている点

ロ.原告の登録商標3、5の侵害成否

(1) 原告の登録商標3、5と被告の標章は、外観、観念が相異して一般の需要者に商品の出処に関して誤認・混同させるおそれがないので、互いに類似しているといえない。

外観を見ると、被告の標章は、木の葉の帯文様のみが支配的な印象を与えるものでもないので、原告の登録商標3、5と外観が類似していると見なし難い。また、被告の標章は、木の葉の帯文様と花文様が全体として一つの文様で調和をなしているので、これを分離観察したりまたは木の葉の帯文様のみを被告の標章の要部と見なして原告の登録商標3、5と対比することもできない。

観念においても、原告の登録商標3、5は、‘木の葉の帯文様’程度の観念が生じる反面、被告の標章は、その構成に照らし合わせて‘木の葉の縁取り内の花文様’という観念が生じるので、両者は観念においても相異する。

(2) 原告の登録商標3、5は周知著名な商標と見なすことができないので、これと異なる前提に立った原告の主張(木の葉の帯文様の原告の登録商標3、5が周知著名なものであり、被告の標章のうち、木の葉の帯文様が要部に該当するので、両者は類似している)は理由がない。

原告の**ガーデン製品の広告は、原告の登録商標3、5を強調して広告したものでなく、木の葉の帯文様と花文様が共にまたは分離して使用された製品自体を広告したものであり、オンライン・マーケットプレイスで被告製品を広告しつつ言及した原告の製品スタイルは、木の葉の帯文様自体でなく、木の葉の帯文様と花文様が共に使用された原告の製品の全体的な形態を意味するものと見られ、他の木の葉の帯文様の商標登録が拒絶された理由は、商標登録を申請した指定商品に既に原告の先登録商標があったためであり、原告の登録商標3、5が周知著名な商標であるためではない。

(3) 被告の標章のうち、木の葉の帯文様は単位構成要素の形状と模様および全体的な印象において原告の登録商標3と顕著な差があるので、取引社会の通念上、同一・類似すると見なすことができない。

ハ.原告の登録商標4の侵害成否

被告の標章は、デザインとして使用されたものに過ぎず、自他商品の識別標識または商品の出処表示として使用されたものではないので、被告の標章が原告の登録商標4の商標権を侵害したと見なすことができない。

ニ.原告の登録商標6の侵害成否

インターネットのオンライン・マーケットプレイスなどで被告の標章を使用した被告の製品を‘**★st’、‘ブランド品***スタイル’、‘ブランド品**st’などで広告しつつ販売している事実は認められるが、オンライン・マーケットプレイスの販売者が被告であることを認める証拠がない。

3. 大法院の判示内容

イ.原審は、皿など製品に表現された図形は特別な事情がない限りデザインに過ぎないという前提で商標の類否に対してさらに判断しないまま、被告の標章1~4は商標として使用されたものではないので、原告の登録商標1、2、4に対する商標権を侵害しないと判断したが、このような原審判決には商標としての使用に対する法理を誤解して判決に影響を及ぼした違法がある。

①原告の登録商標1、2、4、5およびそのような類型の標章を使用した原告の**ガーデン製品の売上額、広告事実、記事(2006年頃にはその取引者と需要者に顕著に認識)

②原告の登録商標1、2、5は以前の陶磁器類で見られなかった独特な文様の商標である事実

③被告の標章1~4製品にも原告の**ガーデン製品と同一の位置に同一の大きさで被告の標章1~4の木の葉の帯文様と花と蝶など文様が配置されている事実

④被告の標章1~4製品は2006年頃と2010年頃にインターネットショッピングモールに‘ポートメリ★スタイル’、‘ポートメリオンst皿’または‘ブランド品’などと広告・販売されてきた事実

ロ.原審は被告の標章1~4が木の葉の帯文様のみに分離観察されないという前提で被告の標章1~4は原告の登録商標5と類似しておらず、原告の登録商標5に対する商標権を侵害しないと判断したが、このような原審判決には商標の類否判断に対する法理を誤解して判決に影響を及ぼした違法がある。

原審の判決理由によると、被告はうつわの模様に応じて木の葉の帯文様と花文様を共にまたは分離して配置する方式で使用している事実が分かり、原告の登録商標5は、被告の標章1~4が使用された2006年頃にはその取引者と需要者に顕著に認識された周知商標に至った。

被告の標章1~4を木の葉の帯文様のみで分離観察して原告の登録商標5と離隔的に対比すると、両商標はその外観が極めて類似して両商標を共に同種商品に使用する場合、一般の需要者に商品の出処に関して誤認・混同を引き起こす恐れがあるので、類似した商標に該当する。

4. 判決の意義

本判決は、デザインと商標は排他的・選択的な関係にあるのではないので、デザインになり得る形状や模様であるとしても、それが商標の本質的な機能といえる自他商品の出処表示のために使用されると見なすことができる場合には、上記使用は商標としての使用と見なさなければならないという既存の判例の態度と同じ立場で、デザインの商標としての使用有無の判断基準(登録商標の周知著名性など)を事案に適用して結論を導き出した。

また、図形からなる結合商標の類否判断時、図形商標もまた文字商標と同様に各々分離観察が可能であり、この場合、実際の使用態様(商品に分離表示の有無など)および各要素の周知性獲得の有無を考慮して判断した。