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職務発明に関する企業の義務を強化した発明振興法改正について
弁理士 權芝媛

2014年1月から施行されている発明振興法の一部改正内容について参考になり得る事項を中心に簡略に考察する。

1.改正理由

従業員などの交渉力及び手続的権利を強化して実質的な補償過程への参加を促し、大企業による職務発明の補償制度導入を積極的に誘導することによって、企業全般に正当な補償文化を定着させて知識産業時代における企業競争力と国家競争力を強化し、産業財産権サービス業の育成及び関連協会の設立根拠を設けて高付加価値産業へ発展することができる土台を設けると同時に、国内雇用の創出に寄与し、発明教育を活性化するために、発明教育センターの設置・運営など制度的基盤を整備し、国家研究開発事業の遂行過程で生産した資料の使用拡散及び記録物に対する信頼確保のために研究ノート活用の促進根拠を設ける一方、その他に現行制度の運営上で現れた一部不備な点を改善・補完するものである。

2.主要内容および意義

イ.産業財産権サービス業の育成根拠設置(第2条第9号・第10号および第40条の2から第40条の6)

1)産業財産権の創出・保護・活用関連活動を支援する産業財産権サービス業が主要産業として浮び上がっているにも拘わらず、まだその法的根拠が脆弱であるので、該当産業に対する定義および育成根拠規定を設ける。

2)特許庁長は毎年産業財産権サービス業の育成のための施策を樹立するようにし、産業財産権サービス事業者が関連協会を設立して運営することができるようにする。

ロ.発明教育活性化のための制度的基盤整備(第7条および第9条)

政府の学生発明活動の支援施策に学生発明教育機関などの設置・運営支援、発明教育専門教員の養成支援などを追加することによって、政府が総合的且つ体系的に学生発明を支援するようにし、発明教育を活性化するために、国家などが直接発明教育センターを設置・運営するようにする。

ハ.研究ノートの活用促進のための基盤作り(第9条の2新設)

研究開発情報を体系的に記録・管理および使用するために、国家研究開発事業中に研究過程および研究成果を記録した資料である研究ノートの活用を促進することができる法的根拠を設ける。

ニ.正当な職務発明の補償文化の拡散(第10条第1項、第15条第2項・第3項・第4項・第5項・第6項、第17条および第18条)

1) 使用者などが大企業である場合、事前に承継などを目的とする契約や勤務規定を締結または作成しなければ通常実施権を行使することができないようにする(第10条第1項)。

改正前の使用者の無償の通常実施権は、従業員に給与と施設を支援した使用者にその代価として最小限認められる権利であったが、改正法はこのような原則を企業に不利な方向に修正した。つまり、大企業が職務発明の承継および補償規定を設けなければ無償の通常実施権剥奪という不利益を与えることによって、職務発明の補償規定を制定、運営するように強制した。特に、職務発明が特許権、実用新案権、デザイン権の登録を受ける前に、予めその規定が締結または作成されなければならないと施行時期を明示した。

2) 使用者などは職務発明に対する補償形態と補償額を決定するための基準、支給方法などが明示された補償規定を作成して従業員などに文書にて知らせるようにする(第15条第2項)。使用者などは職務発明の補償規定に基づいて決定された補償額など補償の具体的な事項を文書にて知らせるようにする(第15条第4項)。

つまり、従業員の補償申請に先立ち、会社で積極的にその根拠を明らかにして補償手続を進行し、全ての手続を文書にてするように要求して、厳しい手続的要件を遵守して作成された補償規定に基づいて職務発明の補償をすれば正当な補償として見なされるようになる。したがって、従業員が会社で支給した職務発明に対する補償が正当な補償に至らないとして職務発明補償金請求訴訟を提起しても、法院が介入して追加で補償金が支給される余地はなくなった。

3) 使用者などは補償規定の作成および変更に関して従業員などと協議しなければならない。ただし、補償規定を従業員などに不利に変更する場合には、従業員などの過半数同意を得るようにする(第15条第3項)。

これは使用者単独で補償規定を作ることができず、従業員と協議することを義務化するものであり、企業規模と関係なく、全ての使用者であるという点に留意しなければならない。そのために、従業員と協議手続を十分に経ずに作成された職務発明の補償規定に対する効力を法院が認めない場合もあり、但し書き規定と関連して過半数同意の手続も実務上煩わしいこともあり得るので、現在運営中である職務発明規定を点検し、必要な改正作業を完了するだけでなく、現在職務発明に対して従業員との協議手続などに問題があったとすればその欠陥を早急に補完するのが望ましいだろう。

4) 使用者などが第2項から第4項までの規定に基づいて従業員などに補償した場合には正当な補償をしたと見なす。ただし、その補償額が職務発明により使用者などが得る利益とその発明の完成に使用者などと従業員などが貢献した程度を考慮しない場合にはその限りではない(第15条第6項)。

改正前は法院が企業の職務発明の補償規定が合理的か否かを審査した上で、そうであると認められない場合、企業が既に支給した補償金以外に追加で正当な補償金に該当する金額の支給を命じることができるが、改正法では法院が審査する余地を除去した。しかし、但し書きのような例外規定に基づき、使用者は出願補償および登録補償以外にも必ず実績補償制度を設けなければならないので、これを違反した補償規定はそれ自体で根本的瑕疵があると見なして例外的に法院が介入することができるという余地を残した。

5) 使用者などは職務発明審議委員会を設置・運営するようにし、従業員などが職務発明に関して使用者などと異見がある場合、審議委員会を構成して審議を要求することができるようにする(第17条および第18条)。

つまり、従業員の参加が義務化された。特に、職務発明の補償規定や補償額などに関する異見があり、従業員の要求がある場合、使用者は60日以内に審議委員会を構成して要求した事項を審議する義務がある。したがって、企業では早急に審議委員会の運営に関する規定を設け、会社側と従業員側を代表する同数の委員を予め選任して審議委員会を構成する必要がある。

ホ.特許技術情報センターの遂行事業追加(第21条)

産業財産権情報需要者が要求する多様な産業財産権関連情報を効果的に生産・普及するために、特許技術情報センターが先行技術情報の分析・提供事業のみならず、先行技術情報の生産・管理まで遂行することができるようにした。