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強化された記載不備(Indefiniteness)判決の新たな基準
米国弁護士 崔同淳

Biosigが2004年にNautilusを相手にBiosig所有の特許関連侵害訴訟を提起した。これに対応して、NautilusはBiosigの特許の記載不備(Indefiniteness)による無効性を主張した。

記載不備関連に該当する特許法35 U.S.C. §112(b)は次のとおりである:

 “The specification shall conclude with one or more claims particularly pointing out and distinctly claiming the subject matter which the applicant regards as his invention.”

つまり、明細書は出願人が自己の発明と見なす主題(subject matter)を特定し、明確に請求する一つ以上の請求項で完結しなければならない。本判例を通じて米国連邦大法院は特許の請求項が合理的な解釈不能(not amenable to construction)ないしは説明不能に曖昧(insolubly ambiguous)な場合、請求項が不明瞭(indefinite)なものであるという米国連邦抗訴法院によるこれまでの特許法35 U.S.C. §112(b)の判決基準を、請求項が合理的に確実(reasonable certainty)に解釈されない場合、indefiniteであるという一層強化された新たな判決基準に置き換えた。本判決によって特許出願明細書の作成に関する強化された明確性要件に対して注意しなければならず、また特許登録後にも記載不備による特許無効の危険性増加に対して注意しなければならないだろう。

事件の背景および概要

本判例の争議対象であるBiosig所有の米国特許5,337,753(以下、「’753特許」)は、運動中に使用される心拍数測定器関連特許であり、2004年にNautilusが販売する製品が’753特許を侵害するという主張を根拠にNautilusを相手に特許侵害訴訟を提起した。これに対応して、Nautilusは米国特許庁に’753特許再審査を要請し、再審査判決が下される前に当事者らは自発的に訴訟を取り下げた。米国特許庁は’753特許再審査に関連して’753特許の特許性を認め、Biosigは米国特許庁の再審査判決後、再度侵害訴訟を提起した。再開された訴訟でNautilusは’753特許の記載不備(Indefiniteness)による無効性を主張し、米国地方法院はNautilusを支持した。Biosigは米国地方法院の判決に対して米国連邦抗訴法院に抗訴し、連邦抗訴法院はnot amenable to constructionないしはinsolubly ambiguous記載不備判決基準を適用しながら地方法院の判決を破棄し、差し戻した。これに対してNautilusは、連邦抗訴法院の判決に不服とし、米国連邦大法院に抗訴した。

Nautilusは、連邦抗訴法院のnot amenable to constructionないしはinsolubly ambiguous記載不備判決基準は、特許法35 U.S.C. §112(b)要件を満たさない過度に寛大な判決基準であるため、曖昧な請求項の登録を招くと主張しながら、連邦抗訴法院の判決基準を置き換える請求項の2以上の合理的な解釈が可能であれば請求項はindefiniteなものと判決する強化された基準を提案した。

連邦大法院の判決

連邦大法院はNautilusの主張に概ね同意した。連邦大法院は言語自体に内在する限界性により絶対的な明確性を達成することはできないが、特許法35 U.S.C. §112(b)要件は明確性を要すると指摘した。同時に、連邦大法院は連邦抗訴法院のnot amenable to constructionないしはinsolubly ambiguous記載不備判決基準は、特許が言語的に理解ができても発明の範囲を大衆に明確に告知できない結果を招くと指摘した。

したがって、連邦大法院は連邦抗訴法院のnot amenable to constructionないしはinsolubly ambiguous判決基準は、特許法35 U.S.C. §112(b)が要する明確性(clarity)基準を満たさないと判決しながら、明細書と出願経過審査記録を考慮して請求項がreasonable certainty水準に発明の範囲を当業者に告知することができなければ請求項はindefiniteであるという強化された新たな記載不備判決基準を提示しながら、連邦抗訴法院の判決を破棄し、連邦大法院が提示した新たな判決基準を適用するように連邦抗訴法院に差し戻した。

特許従事者の大部分は、連邦大法院が35 U.S.C. §112(b)充足条件をさらに強化したと見なしている。しかし、連邦大法院は判決文に如何に新たな基準を適用すべきかを提示しておらず、連邦抗訴法院が新たな基準を如何に適用するかによって新たな基準の充足条件について具体的に明らかになると思われる。

REFERENCES