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米最高裁が特許存続期間満了後のロイヤリティー支払いは不要であるとした判決
米国弁護士 金憲俊

 

米国市場において特許存続期間が満了した特許に対して実施料(ロイヤリティー)を支払うべきか否かについて賛否論議が激しい中、去る6月22日に米連邦最高裁判所は、Kimble v. Marvel Enterprises, Inc.事件において最終的に存続期間が満了した特許に対してロイヤリティーを支払う必要がないと判示した。

1990年にキムブル社は、「スパイダーマン」のように手首から網を発射する玩具を発明し、米国特許庁に特許を登録した。マーベル社は、ロイヤリティーを与えることとし、キムブル社から特許実施権を受けてスパイダーマン玩具のメガブラスターを市場に発売したが、キムブル社にロイヤリティーを支払わなかった。キムブル社は1997年にマーベル社を相手に特許侵害訴訟を提起し、2001年にマーベル社はキムブル社と合意してロイヤリティーを支払った。問題は、合意書にロイヤリティー支払いの終了日が記載されておらず、マーベル社が特許存続期間満了後の期間に対してロイヤリティーを支払わなかったので、キムブル社は再びマーベル社を提訴した。

米連邦最高裁判所は、6対3の判決により1964年に特許存続期間が満了した特許に対してロイヤリティーを受けることができないと判示したBrulotte v. Thys Co.の先例が有効であるとした。最高裁判所は、連邦議会が希望すれば、存続期間以降にもロイヤリティーを受けることができる法を制定することができたが、そのようにしなかった理由は、大多数がそれを希望しなかったためとしつつ、Brulotte判例が正しくない経済分析を基準に採択したという主張と、技術の発展を低下させるという主張を受け入れなかった。

今回の判例により、米国特許に対して実施権を受けている韓国企業は、存続期間満了後のロイヤリティーは支払わなくてもよいという確信を有することができるようになった。

しかし、次のような状況では、特許存続期間満了後にもロイヤリティー支払い規定が有効であり得るため、実施権契約の検討および作成時にできる限り専門家と相談することが望ましい。

- 存続期間の間のロイヤリティーを存続期間より長い期間に分けて支払うことは有効である(例:20年間10%のロイヤリティーを受ける契約を40年間5%のロイヤリティーを受ける契約とする)。

- 複数の特許(ポートフォリオ)をまとめて実施権契約が締結された場合、存続期間が残っている特許がある限り、ロイヤリティーを継続して支払うようになることもある。存続期間が満了した特許に対してはロイヤリティーを支払わず、存続期間が残った特許のみに対してロイヤリティーを支払うことを希望すれば契約書にその内容を正確に記載しなければならない。

- 存続期間がある特許に存続期間がない事業秘密(Trade Secret)のような権利が含まれている場合、存続期間が満了してもロイヤリティーを継続して支払うようになることもある。

その他に、合弁事業(Joint Venture)のように事業的な協力および収益分配内容が実施権契約に追加された場合に、存続期間が満了してもロイヤリティーを継続して支払うようになることもある。