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インド商標規則の改正施行(2017年3月6日施行)
ニュージーランド弁護士 金叡娜


インド政府はより迅速且つ容易な商標登録プロセスの進行およびインド知的財産権政策の改善のために従来の商標規則(Trade Marks Rules)を改正、2017年3月6日に公表した。当該商標規則は公表後、直ちに発効され、従来の商標規則に代替された。

  改正されたインド商標規則の主要内容は次のとおりである。

  1. 公式手数料の引き上げ(Fees)
    •   すべての手続に関する公式手数料がほぼ2倍に引き上げられた。また、改正商標規則は、電子出願を活性化するための方案として電子出願と書面出願にそれぞれ異なる費用体系が導入されることとなり、電子出願は公式手数料に10%の割引が適用される。

  2. 書類様式(Forms)
    •   旧商標規則による従来の複雑な様式が簡素化された様式に代替された。また、従来には70種類以上の様式が存在したが、これを統合して8種類の様式に最小化して業務処理がより容易になるとみられる

  3. 商標出願(Applications)
    •   改正された商標規則により、スタートアップ/小企業/個人は25%引き上げられた手数料が適用され、これを除くその他出願人は、より高い150%引き上げられた手数料が適用される。
    •   商標出願時に先使用(prior use)を主張する場合、使用立証要件の厳格化により商標使用を証明する宣誓供述書(Affidavit)および証拠文書の提出が義務化された。
    •   従来の商標規則では商標の指定商品(類当たり)の個数と関連して文字数500個を超える場合、文字当たり超過料金を支払わなければならなかったが、同規則が削除された。
    •   早期審査要件の改正により、従来の商標規則は、審査報告書の発行段階まで早期審査を請求することができたが、改正後には審査報告書の発行段階はもちろん、必要時に理由説明のためのヒアリング(show cause hearing)、異議申立、公告、登録証発行の各段階で早期審査請求が可能となる

  4. 商標譲渡(Assignment)
    •   商標譲渡による公式手数料の単一化により、改正商標規則は従来の商標規則とは異なり、譲渡申請の公式手数料が譲渡申請書の受付日に影響を受けない。

  5. 異議申立(Oppositions)
    •   異議申立通知が商標庁サイトに公告されれば、正式通知を受ける前にも答弁書の提出が可能となる。また、商標出願人が正式通知を受ける前に既に商標庁サイトに公告された商標電子記録写しを答弁書と共に提出した場合に限り、異議申立人は商標出願人に異議申立通知書類を送付する義務がない。
    •   異議申立後、異議申立人は補充資料を2ヶ月内に提出しなければならず、被異議申立人は異議申立に対する答弁書を1ヶ月内に提出しなければならない。従来の商標規則では補充資料提出期間は1回1ヶ月の延長が可能であったが、改正商標規則では同規則が廃止された。
    •   異議申立が提起された後、異議申立人が補充資料を期限内に未提出或いは被異議申立人が補充資料提出通知を受けた日から2ヶ月内に異議申立に対する答弁書を提出しない場合、当該異議申立は取下/放棄したものとみなされる。
    •   改正商標規則は出願人/異議申立人が当該出願/異議申立を裏付ける宣誓供述書(Affidavit)を証拠資料(Exhibits)と共に提出することを義務化した。
    •   従来の商標規則による口頭審理要請様式(TM-7)の提供は、今回の改正商標規則で廃止された。参考までに、異議申立に対する審理休廷を要請する場合、当該審理日から3日以前に休廷要請書を提出しなければならず、審理休廷要請は双方側が各2回に限り要請可能であり、休廷期間は30日以内でなければならない

  6. 取下/放棄とみなす異議申立関連費用賦課制度の導入(Awards)
    •   異議申立人が異議申立を行う前に被異議申立人に合理的な通知(reasonable notice)をしたものの、被異議申立人が異議申立に対応しないか、または異議申立人が異議申立を提出したものの、被異議申立人が提出した答弁書に対応しない場合には、異議申立は取下/放棄とみなされ、INR 10,000の費用が賦課される。

  7. 修正申請(Rectifications)
    •   修正申請日から3ヶ月以内にその修正申請に対する反論がない場合、修正申請人は修正のための根拠を提出しなければならない。
    •   修正手続の場合、当該商標権者に通知する必要がなく、商標権者が登録の取消を要請するかまたは書面合意した場合、それに合わせて登録が消滅することとなる。

  8. 著名商標(Well-Known Mark)
    •   商標権者は本人の商標が著名商標であることを主張した上で当該公式手数料を支払った後、著名商標リストへの登録を申請することができる。

  9. その他(Miscellaneous)
    •   出願人/異議申立人による認可の取消または代理人による出願/異議申立取下の場合、インド内住所地を記載していなければ、出願人/異議申立人は2ヶ月内にインド内住所地を提供しなければならず、これを提供しない際には出願/異議申立は取下/放棄とみなされる。


 



http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/News/312_1_TRADE_MARKS_
RULES_2017__English.pdf

http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=cccf9218-d89f-4e0f-a6b6-2f56eeb77559
ibid.
http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=60a9f823-d1ee-4c33-89e3-5be1a94287f2