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欧州特許庁(European Patent Office)の審査指針改訂事項
弁理士 曺智賢

欧州特許庁の改訂された審査指針が2016年11月1日に発効された。改訂された審査指針には最近決定された事例と欧州標準の変更事項を反映している。以下、改訂された内容について紹介する。

  • 2016年7月1日から効率的な異議(opposition、条約第100条に規定した一つまたは複数の理由により公衆が異議を提起することができる)手続を導入するためにいくつかの修正案が作成された。欧州特許庁は異議手続の迅速な結論を導き出すことによって異議手続の両当事者および公衆に法的確実性を確立するために、EPOの以前の手続を担当する一般的な原則、特に条約第113条(1)による意見提出権を尊重しながら「異議からの早期確実性(Early Certainty from Opposition)」を目指す内部的な手続を最適化し、簡素化する。そこで、簡単な異議の場合には異議期間満了日から15ヶ月以内に決定が行われるようになる。
  • 欧州特許出願(European patent applications (PACE))の迅速な出願登録業務(prosecution)のためのプログラムと関連したアップデートが行われる。特に、検索および審査のそれぞれのスピードアップのための別途の要請が必須となったことが明確となり、定められた期間内の手数料未納や期限渡過のようなスピードアップの地位を喪失した場合には、その地位が復活しないことが審査指針に反映される。
  • 欧州特許出願の譲渡において、以前は譲渡人の署名のみが要求されたのに反し、今後は譲渡のすべての当事者が署名した証明書類を備えなければならない。
  • 一般的なコンピュータハードウェアを利用して遂行可能な方法に関する排他的な請求項、または請求項の記載が特定のデータ処理装置や他の技術的な装置を利用した相互作用により、少なくとも一部でも限られる場合のように、コンピュータで具現された発明を扱う請求項のための部分も改訂審査指針に反映される。
  • コンピュータで具現された発明の特許の可能性、特に進歩性と関連した部分での特許の可能性に対して審査官が如何に評価すべきかに関する新たな審査例示が審査指針に反映される。具体的には、新たに反映された審査例示を通じてコンピュータで具現された発明が許容可能なものとみなされる場合と、それに該当しない場合に対して容易に判別できるようになる。