ニュース&イベント

IPニュース

特許法院の対内外的専門性強化-知識財産中心の法院へ跳躍
弁理士 李承

 

去る2015年6月、大法院傘下の知識財産IPハブコート(Hub Court;中心法院)推進委員会の発足を始めとし、2015年11月の5次会議に至るまで、特許法院の専門性強化のための方案が論議されてきた。

論議結果として、1)特許権などに関する訴訟の特許法院への管轄集中方案、2)特許法院法官の専門性を強化させる方案、3)特許法院に知識財産紛争解決センターを設置する方案、4)国際裁判部を設立する方案などに対して合意を導き出し、導き出された合意内容を最近具体化している。

1) 特許権などに関する訴訟の特許法院への管轄集中

まず、去る2015年11月12日に特許権などに関する訴訟管轄集中を骨子とする「民事訴訟法および法院組織法改正案」が国会本会議を通過して今年1月1日から施行された。

従来、特許法院は、特許審判院を1審として上がってくる審決取消訴訟のみを担当しており、侵害訴訟には関与していなかったが、特許権などに関する侵害訴訟の1審裁判機関を高等法院が所在する地方法院5箇所(ソウル、光州、大田、大邱、釜山)に縮小し、2審は特許法院で一元化して管轄集中するようになった。

これと関連して、最近、特許法院は、特許など侵害訴訟事件に適用される審理マニュアルを制定し、特許法院の侵害訴訟控訴審裁判に適用される細部的な手続および基準を明示した。これは特許訴訟での最初の試みであって、迅速且つ効率的な手続進行を保障し、事件関連人に手続に対する予測の可能性を付与して訴訟準備の便宜性を提供するためである。

2) 特許法院法官の専門性強化

併せて、最近(2月)、大法院は、特許法院に裁判部を1つ増設し、法曹経歴15年以上の知識財産権分野の専門性を有する高等法院判事2名を特許法院に最初に配置した。これは、特許法院判事の専門性の強化を重要な要素として判断した結果によるものである。

これに先立ち、IPハブコート推進委員会の方案によると、裁判部の技術的判断を助けるために博士級専門人材を大挙採用することとしており、これも推進されると予想される。

3) IP調停委員会の構成

その他にも、特許法院に知識財産紛争解決センターを設置する方案は、最近(4月)、特許法院のIP調停委員会の構成により具体化した。

特許権などに関する紛争は、高度に専門化された分野に関するものであり、営業秘密やノウハウの公開のおそれがあるため迅速な紛争解決が要求されるところ、本案訴訟の代わりに調停・仲裁・和解など代替的紛争解決(ADR)に早期に回付して迅速で円満な解決を誘導するためである。

そのために、調停委員会は、IP訴訟分野の法律専門家16名と科学技術分野の専門家12名など全28名で構成して、紛争解決を誘導するに当たり、公正性と信頼性を提供しようとしている。

4) 国際裁判部の設置

一方、特許法院の対内的専門性強化だけでなく、対外的紛争解決の拠点への跳躍のために、最近(1月)発議された「特許法一部法律改正案」は、当事者の申請により外国語弁論および証拠提出が可能な国際裁判部を設置することを骨子とする。

現行の法院組織法および民事訴訟法の下では、例外を除き、韓国語使用を義務化しており、外国語文書は翻訳して提出しなければならないが、改正案では翻訳文添付などに関する規定の適用を受けずに当事者申請により外国語弁論はもちろん、証拠提出を許容して国際的司法接近性を強化しようとしている。

そのために、1審裁判を担当する地方法院と2審を担当する特許法院に対して、国際事件を担当する国際裁判部を新設し、国際事件で許容される外国語の範囲や許可手続などは大法院規則で定めるようにする方案が論議されている。