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プラットフォームビジネスと特許
弁理士 田智𤨒

ソーシャルメディアプラットフォーム、ニュースプラットフォーム、コンテンツプラットフォーム、取引プラットフォームなどの「プラットフォーム」は、私たちの日常生活の一部になってきている。プラットフォームの字義的定義は鉄道駅の乗り場を意味するが、現在は包括的に生産者と消費者が互いに希望する価値を取引できる媒介体の役割を果たす環境を意味する。そして、プラットフォームビジネスとは、プラットフォーム事業者がプラットフォームを形成し、そこで外部生産者と消費者が相互作用をしながら価値を創出可能にすることに基盤を置いたビジネスをいい、今日ではアップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックのような多数のグローバル企業がプラットフォームビジネスを基盤として急成長している。

プラットフォームビジネスのようなビジネス方法(Business Method、BM)は「BM発明」といい、特許の対象となる。ただし、純粋な営業方法自体のみではBM発明に該当せず、コンピュータ上でソフトウェアによる情報処理がハードウェアを用いて具体的に実現されている場合に限る。そしてBM特許は、特許法規定に基づいて新規性、進歩性のような一般的な特許要件を満たさなければならない。

プラットフォームビジネスは、基本的にオンラインを通じてネットワークサーバーと通信し、データのやりとりをするため、プラットフォームビジネス発明は、特許適格性の問題よりは如何なるアイディアを具体的に如何に具現して新規性および進歩性を認められるのかが重要な問題である。BM発明の進歩性判断に対して大法院判決は「営業方法の要素」と「これを具現する技術的構成要素」の全てを総合的に考慮するようにしており(大法院2017フ1885判決(2018.3.29.言渡))、プラットフォームビジネス発明の特許性もこれを考慮して判断される。

1) 営業方法の要素

既存にはできなかったサービスや機能を提供するプラットフォームがこれに該当する。オフラインのサービスをオンライン化する過程でコンピュータを活用して新たな技術を追加的に使用することができ、これにより新たな方式のプラットフォームが具現されるか、あるいは既存にはなかった新たな問題を解決するプラットフォームがあり得る。

例えば、フェイスブックが出願した韓国特許出願第10-2017-7003398号は、「ソーシャルネットワーキングユーザーの拡張された追跡および広告ターゲッティング」に関するものであって、外部アカウントで生成されたコンテンツをフェイスブックアカウントに引いてきて記載し、購買者が接続するモバイルの識別子を利用して購買者を識別し、購買者に追加的に広告を提供する内容を含む。この発明はオンラインで提供可能な多様なデータを活用して従来は提供することができなかったマーケティング機能を提供する。すなわち、既存にはなかった機能を提供するため、ビジネス方法として新たな要素が含まれており、新規性および進歩性が認められる。

2) 具現する技術的構成要素

従来技術を使用してオフラインに存在するビジネス方法をプラットフォームで具現する場合には進歩性が認められない。例えば、音楽プラットフォームやウェブトゥーンプラットフォームのように既存のオフラインで提供されるコンテンツをオンラインで提供するコンテンツプラットフォームと、デリバリープラットフォームやタクシー配車プラットフォームのように既存のオフラインで行われていたサービスをオンラインに移すサービスプラットフォームなどは、現時点では新たな技術的特徴が存在しないため特許として登録を受けることができない。

ビジネス方法を具現する技術的構成要素の要件と関連して、大法院がアフリカTVの上告を受け入れて、アイオンコミュニケーションズの特許は無効であるという趣旨で事件を特許法院に差し戻した事件(大法院2018フ10800判決(2018.12.27.言渡))を考察する。争いの対象となった特許は、2000年にアイオンコミュニケーションズが出願して登録を受けた「インターネット放送視聴者反応度調査方法およびシステム」であり、視聴者がインターネット放送を視聴中に拍手、歓呼、理解、興味なしなどのボタンを押すと当該反応を二進信号に変換して映像に映し出す技術である。アイオンコミュニケーションズがアフリカTVを相手取って特許侵害差止および損害賠償請求訴訟を提起すると、アフリカTVはアイオンコミュニケーションズの特許が既存に公開された国内外の先行発明技術を単に組合せたものに過ぎないため、進歩性および新規性がないとした上で、特許審判院に登録無効審判を提起した。特許審判院と特許法院では進歩性が否定されないとの理由でアイオンコミュニケーションズを支持したが、今回大法院が特許法院の判決を覆し、アイオンコミュニケーションズの特許は無効であるとの趣旨の判決を下した。

大法院は「被告の発明は、放送と視聴者反応度調査プログラムが共にインターネットを介して行われるが、先行発明は、視聴者反応度調査のみがインターネットを介して行われ、TV放送は地上波などを利用するという点において違いがあるが、先行発明では地上波などを利用したTV放送とインターネットを利用した反応度調査の伝送方式が異なるに過ぎず、インターネット放送技術が導入された状況においてインターネット放送を行いながら、先行発明に示されたインターネットを介して視聴者反応度調査を導入するのに困難はないとみることができる。」と指摘し、「リアルタイムで視聴者の呼応程度を体験できる効果は、リアルタイムで双方向疎通が可能なインターネットの属性によるものであって、先行発明にも示されており、反応キーを通じた信号によりデータ負荷を最小化するという効果は、チャットプログラムの代わりに予め答弁を決めた視聴者反応調査プログラムを利用することにより当然予想される効果に過ぎない。」とした。結局、被告の発明は、従来のインターネットを利用した視聴者選好度調査方法をインターネット放送に単に転用したものに過ぎず、これを具現する技術的要素を含んでいるわけでもないため、その進歩性が否定されるとみるべきであることが大法院の判断である。大法院は「先行発明は、インターネット放送に必要な技術でない反面、また別の先行発明は、インターネット放送技術であるため、その結合が容易でないか、あるいは先行発明と周知慣用の技術を結合するとしても被告の各訂正発明を容易に導き出すことは難しいなどの理由により、各訂正発明の進歩性が否定されないとした原審の判断には特許発明の進歩性に関する法理を誤解した誤りがある。」と判示した。

すなわち、アイディアのみを提示する類型のBM発明の場合、構造変更の困難性は、特別な事情がない限り考慮されないものであって、BM発明の場合には、一般装置などの発明に比べて結合の困難性を判断する時、構造変更の困難性を考慮する必要がより少ないという点において進歩性が認められることは一層難しいとみることができる。

このように新たな技術的構成要素が存在せず、ビジネス方法自体を特許として登録を受けることができない場合、当該ビジネスの提供に必要な細部的な技術に対して特許を確保することを考慮してみることができる。例えば、エアビーアンドビーは、宿泊共有サービスの提供のために必要な細部的な技術に対して特許確保を進行中であるが、オンラインシステム上の使用者身元と信頼性を検証する方法(米国登録特許US9288217)、宿泊施設のランキングを算出する具体的な方法(米国登録特許US10089702)などに対する権利確保を進行して競争企業に対して比較優位を確保している。したがって、プラットフォームビジネスにおいて競争者の参入を防止したり遅延させることができる方法として特許を活用する戦略が必要である。