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インドネシア特許の概観
弁理士 鄭守眞

1. インドネシア特許

世界4位に該当する多くの人口と広い領土を保有するインドネシアは、G20国家のうち、経済成長率第2位の新興経済国である。インドネシアの特許出願はパリ条約または特許協力条約(PCT)による国内段階移行により可能である。ただし、それ以外に出願に必要な書類や要件などは類似しており、以下で詳細に説明する。

2. 出願時の必要書類

特許出願時に使用される言語はインドネシア語であり、英語による明細書の出願も可能である。出願時の必要書類は次のとおりである。

1) 出願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約などの韓国と類似する形態の特許出願書および明細書
2) 委任状-出願と同時に提出、包括委任状は不認定
3) 譲渡証-出願人と発明者が異なる場合に必要
4) 優先権証明書-パリ条約に基づく出願である場合に必要
5) 宣言書-出願人と発明者が同一な場合に必要

3. 審査

1) 方式審査
出願後には方式審査が行われ、一定の要件が満たされれば出願日が付与される。一定の要件を満たさない場合には補正通知書が発送され、指定期間内に補正要求事項を解消できない場合には出願は取下げとみなされる。

2) 実体審査
出願日から3年以内に審査請求を行わなければならず、審査請求を行わない出願は取下げとみなされる。審査期間は、審査請求を行った場合には公開期間が終了すれば実体審査が始まり、主に産業上の利用可能性、新規性、進歩性を判断し、韓国と類似している。特許登録の成否は通常審査請求後36ヶ月内に決定される。

①特許要件の違反時
審査の結果、当該出願が実体審査要件を満たさない場合には審査官は拒絶理由を通知する。この時、出願人は3ヶ月内に意見書および補正書を提出することができる。上記拒絶理由を解消できない場合には拒絶決定書が通知され、これに対して不服する場合、拒絶日から3ヶ月内に審判請求を行うことができる。分割出願は実体審査が終了する前まで可能である。

②特許要件の充足時
審査の結果、特許要件および特許法上の規定を満たしている場合には登録決定され、出願人が登録料を納付すれば登録されて特許公報に公告される。第三者は特許付与日から9ヶ月内に異議申立を行うことができる。

4. 公開

出願日または優先日から16ヶ月乃至18ヶ月後に出願公開となる。公開後6ヶ月内に第三者が情報提供を行うことができる。

5. 特許権

出願日から20年の存続期間を有する。

6. 特異点

1) 短期特許(実用新案)
インドネシアは、実用新案制度が別途に存在せず、特許の種類は「特許(韓国の特許)」と「短期特許(韓国の実用新案)」に区分される。短期特許の場合、出願日から6ヶ月以内に審査請求を行わなければならない。短期特許の実体審査(新規性の有無により登録要件を判断)と存続期間(10年)は韓国の実用新案制度と類似している。

2) 特許の取消
特許決定されてから4年間当該特許を実施しない場合、当該特許は取消されることがある。また、年次料未納時に特許は消滅する。