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発明として成立しない類型の整理
弁理士 韓政潤

発明の成立性がない発明、いわゆる不成立発明には、特許法第2条第1項の発明の定義の規定に違反する非発明と、アイディアが技術として具体化されなかった未完成発明がある。発明の成立性が認められなければ特許を受けることもできない。未完成発明は、将来具体性を備えるようになれば完成した発明として成立性を有することができるので、以下では非発明について考察する。

特許法第2条第1項では発明について次のように定義している。

「発明」とは、自然法則を利用した技術的な思想の創作であって、高度なものをいう。

すなわち、特許法上の発明となるためには、1)自然法則を利用したものであり、2)技術的な思想であり、3)創作であり、4)その創作の程度が高度なものでなければならない。

これと関連して数学公式、経済法則、作図法、ゲーム規則、営業計画のように自然法則以外の法則、人為的な約束、または人間の精神活動などを利用している場合には、「自然法則を利用したもの」ではないため、発明として成立しない。しかし、法則や規則それ自体、またはこれを直接的に利用する方法に対して特許を請求するのではなく、これを使用して獲得したデータに基づいて特定の技術手段の性能を高めたり、技術的な装置または方法の目的を達成するための手段として普遍性、反復性、および客観性を有するものであれば、発明として取り扱われ得る。

一方、「自然法則を利用」するということの具体的な意味については、多くの判例を通じて説示されているが、例えば、特許法院2005ホ11094、2006ホ8910判決などでは、「自然法則の利用の有無は、請求項全体でもって判断しなければならないため、請求項に記載された発明の一部に自然法則を利用している部分があるとしても、請求項全体でもって自然法則を利用していないと判断されるときには発明に該当しない」としており、自然法則を全体でもって利用しなければならず、発明をなす構成要素のうちの一部にでも自然法則を利用していない部分があるものは、特許法上の自然法則の利用とはいえないとしている。

また特許法院2001ホ3453、2009ホ351判決などでは、「一定の原因により常に一定の確実性を有し、同一の結果が反復して発生(因果律)し得るもの」としており、自然法則を利用する時、一定の確実性および反復の可能性がなければならないとした。このとき、特許法院2000ホ7748判決では、「形質転換率が約1%という理由で反復再現性がないとはいえない。発明の反復再現性は、必ず100%の確率で効果を得られることを意味するのではなく、たとえ極めて少数の確率であるとしても、効果を得られることが確実であれば反復再現性がある」としており、成功確率が低いという点が反復の可能性を否定する根拠となり得ないという立場を明確にしている。

すなわち、「自然法則を利用」するということは、自然法則を全体でもって利用しなければならず、一定の確実性および反復の可能性がなければならない。

そうであるならば、微生物・植物、用途、コンピュータプログラムは、発明として成立性が認められるのだろうか。

まず、微生物・植物発明の場合、自然法則を利用するに当たり、確実性と反復の可能性が微弱で問題となる。そこで、微生物の寄託事実、入手方法、植物の育種経過を発明の説明に詳細に記載すれば成立性が認められ得る。微生物寄託機関には、韓国生命工学研究院の生物資源センター(KCTC:Korean Collection for Type Cultures)、韓国微生物保存センター(KCCM:Korean Culture Center of Microorganisms)、韓国細胞株銀行(KCLRF:Korean Cell Line Research Foundation)、農村振興庁の国立農業科学院微生物銀行(KACC:Korean Agricultural Culture Collection)の4ヶ所がある。植物発明は、特許法以外に植物新品種保護法によっても保護を受けることができる。

用途発明の場合、特定の物質または化合物に対して新たな用途としての利用過程において創作的要素が存在するものであり、原則的には発見といえるが、創作的要素が特許法上保護する価値があるため、成立性が認められている。しかし、本をうちわとして使用するとして用途発明として認められることは難しいが、類型的な物の場合、他の用途として活用しても既存の用途がなくなるわけではなく、形態に変形が加えられるわけでもないため、用途発明として認められることは難しい。化学物質の用途発明、医薬の用途発明、培養細胞の用途発明などは、新たな用途を発見するためには相当な努力が必要であり、これに対する補償として成立性を認めるものとみることができる。

コンピュータプログラムは、コンピュータを実行する命令に過ぎず、発明の構成要素全体が自然法則を利用したものではないため、コンピュータプログラムそれ自体は成立性が認められないが、韓国特許庁は、産業政策的な目的の一環として2014年7月の審査基準改正を通じて、一定の場合には例外的に成立性を認めている。例えば、コンピュータプログラムによる情報処理がハードウェアを利用して具体的に実現される場合には、当該プログラムと連動して動作する情報処理装置、その動作方法および当該プログラムを記録したコンピュータで読取可能な媒体は成立性が認められ得る。

発明の成立性が認められなくても、公開された場合は公知技術の地位は有するが(大法院98フ270判決(2000.12.8.言渡))、拡大された先出願の適用において他の出願の地位は否定される(大法院91フ1656判決(1992.5.8.言渡))ということが判例の態度である。