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韓国特許庁、「デザイン一部審査対象物品の拡大」
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韓国特許庁は、2020年12月1日からデザイン一部審査登録出願の対象品目を拡大した(デザイン保護法施行規則第38条第3項)。つまり、従前の3個の物品類である第2類(衣類)、第5類(織物紙)、第19類(文房具)以外に、4個の物品類である第1類(食品)、第3類(カバン・雑貨)、第9類(包装容器)、第11類(宝石・装身具)を追加して全7個の物品類をデザイン一部審査対象品目として指定した。今回の措置によりデザイン出願全体の約35%にデザイン一部審査登録制度が適用されるとみられる。デザイン一部審査登録制度は、ライフサイクルが短く、模倣が容易な物品に対して実体審査時に一部の要件のみを審査して早期に権利を付与する制度であって、全ての登録要件に対して審査するデザイン審査登録制度とは区別される。

デザイン審査登録制度とデザイン一部審査登録制度を比較すれば下表のとおりである。

NO

区分

デザイン審査登録制度

デザイン一部審査登録制度

(デザイン保護法第62条第2項)

1

 

実態審査

工業上の利用可能性

成立要件、図面方式など

同左

2

新規性

先行デザインとの同一・類否の判断

審査しない

3

創作性

公知デザイン、および周知形状(結合を含む)の容易創作性の判断 

周知形状(結合を含む)の容易創作性の判断

4

不登録事由

益標章類似、善良風俗違背、他人業務混同、物品必須機能など 

同左

5

方式審査

出願人適格など

同左

特に、韓国特許庁では2020年1月からデザイン一部審査登録出願に対して迅速審査制度を導入し、6日以内に審査結果を通知している。ただし、優先権主張(海外出願)、出願公開申請、手数料未納など迅速審査が不可能なデザイン一部審査登録出願もあるため、審査には平均15日程度を要する

参考までに、デザイン一部審査対象として新規導入された4個の物品類は、従前はデザイン審査対象であったため、審査に相当な期間を要した。これら4個の物品類の2018年~2020年の出願から登録までの所要期間は、下表のとおり分析される(KIPRISを利用して統計、2020年12月1日までのKIPRIS公開データ基準)。この統計にはデザイン登録決定後からデザイン登録までの期間が含まれており、実際の審査所要期間はこれより短い。2020年のみをみると、出願から登録まで第1類(食品)は約6ヶ月、第3類(カバン・雑貨)は約5.5ヶ月、第9類(包装容器)は約6ヶ月、第11類(宝石・装身具)は約7ヶ月を要した。

この所要期間が0.5ヶ月に短縮されるという点から迅速な権利化が可能であるが、多出願人は、デザイン権利化に関する予算を操り上げて執行しなければならないため、それを考慮して出願計画を立てなければならない。また、7個の物品類に対する特許出願とデザイン出願を同時に進行する場合には、デザインの早い先登録により特許出願がこれよりも遅れる場合、特許審査時に公告された登録デザインが先行文献となり得るため、留意する必要がある。

*記事の出所:韓国特許庁報道資料