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登録デザインを許諾なしにオンラインゲームにおけるアイテムのイメージとして使用すると
弁理士 高在弘

オンラインゲームにはそのあらすじを構成する要素として多様なアイテムが必要であるが、他人が創作したキャラクター人形、ロボット玩具などのようなデザインがアイテムの形状で使用されたりもする。

例えば、デザイナーが変身ロボット玩具に関するデザインを創作して特許庁にデザイン登録した上で、そのデザインを利用して玩具分野事業を営んでいる中、他人が許諾なしにそのデザインをそのままオンラインゲームに登場するキャラクターの形状として使用すれば、デザイナーはオンラインゲーム開発者に対して如何なる権利を主張することができるのか疑問である。

第一に、デザイン保護法による権利を主張することができるか

デザイン保護法では、デザインとは、物品の形状・模様・色彩またはこれらを結合したものであって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいい、デザイン権者は、業として登録デザインまたはこれと類似するデザインを独占的に実施する権利を有すると規定している。

デザイン保護法が保護するデザインとは、特定の物品の外観に関する創作物であるため、デザインはその対象となる物品を離れては成立することができない。ここで物品とは、独立して取引が可能であり、運搬が可能であり、特定の形態を有している動産を意味する。そして、変身ロボット玩具のデザインは、玩具という物品の外観で具現された特定の形態である。

オンラインゲームに登場する変身ロボットの形態は、コンピュータソフトウェアの設計内容のとおりにコンピュータ画面に具現されるイメージに過ぎない。つまり、オンラインゲームに登場するアイテムである変身ロボットそれ自体ではデザインの対象となる物品ではない。したがって、オンラインゲーム開発者がデザイナーの変身ロボット玩具のデザインをオンラインゲームにおけるアイテムの形態で使用したとしても、これは変身ロボット玩具という物品にデザインを使用したのではないため、デザイナーの権利を侵害したとみることができない。

したがって、デザイン保護法による保護を受けるためには、オンラインゲームにおけるアイテムと同一・類似する物品性を有するものと認められるようにロボット玩具を「画像デザインが表示されたディスプレイパネル」としてもデザイン出願する必要がある。つまり、オンラインゲームにおけるアイテムへの転換の可能性が高い製品に対してはデザイン出願を両物品いずれにも行うことが望ましい。

第二に、不正競争防止法による権利を主張することができるか

不正競争防止法は、他人が製作した商品の形態を模倣した商品を販売するなどの行為は、不正競争行為の一つとして規定している。

オンラインゲームに登場する変身ロボットの形態は、コンピュータ画面に具現されるイメージに過ぎず、それ自体は商品ではない。したがって、オンラインゲーム開発者が変身ロボットのデザインをオンラインゲームにおけるアイテムの形態で使用したとしても、そのような行為をもって不正競争行為に該当するとはいえない。

不正競争防止法第2条第1号カ目ではまた、他人の相当な投資や努力で作られた成果などを公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自己の営業のために無断で使用することによって他人の経済的利益を侵害する行為も不正競争行為の一つとして規定している。

オンラインゲームの変身ロボットは、コンピュータ画面に具現されるイメージに過ぎず、それ自体が商品ではない。したがって、オンラインゲーム開発者が変身ロボットをゲームアイテムとして使用したとしても、そのような行為を不正競争行為とみることは難しい。一方、変身ロボットは、不正競争防止法第2条第1号カ目の保護対象である「成果など」に該当するものとみることができるが、玩具デザイナーとオンラインゲーム開発者が商取引上の競争関係となる可能性は低く、変身ロボット玩具がオンラインゲーム開発者のゲームアイテムにより市場において代替される可能性も低い。したがって、変身ロボット玩具のデザインをゲームアイテムに使用する行為が公正な商取引慣行や競争秩序に反するとみることは難しく、結果として、不正競争防止法による対応も難しいとみられる。

第三に、著作権法による権利は主張することができるか

著作権法によると、著作物とは、人間の思想または感情を表現した創作物をいい、応用美術著作物とは、物品に同一の形状で複製され得る美術著作物であって、その利用された物品と区分されて独自性を認めることができるものであり、デザインなどを含む。

デザイナーが創作した変身ロボット玩具のデザインは、亀甲船の形態から武器と盾を装着した戦士の形態に変化する様子を表現するものであって、人間の思想や感情がこもった著作物に該当し、具体的には応用美術著作物に属する。

オンラインゲーム開発者がデザイナーの変身ロボット玩具のデザインをそのままオンラインゲームにおけるアイテムの形態で使用することは、それ自体で直ちにデザイナーの応用美術著作物を複製して使用する行為となる。したがって、デザイナーは、オンラインゲーム開発者に応用美術著作物に対する著作権侵害を主張することができる。