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レシピの特許確保方案
弁理士 朴平源

最近、あるフランチャイズ会社がテレビ番組の「ぺク・ジョンウォンの路地裏食堂」で紹介されたドプジュク(粥の上に野菜などの炒めものを乗せた料理)店のドプジュクと類似するメニュー名およびレシピを使用してフランチャイズ化を試みた事件があった。情況をみると、このフランチャイズ会社は人気テレビ番組で話題となったドプジュクを知り、これに便乗してフランチャイズ開業を試みたとみられ、これが国民的な公憤となり、現在、このフランチャイズ会社はドプジュクに対する事業を撤収した状態にある。しかし、ドプジュクに対する真正な権利者であるドプジュク店の社長はドプジュクのレシピに対する特許権などの知識財産権を有していないため、上記フランチャイズ会社にレシピの侵害を主張して法的損害賠償を請求できない状態である。したがって、以下でレシピを特許として確保する方案について考察してみる。

先ず、レシピは著作権法上の保護対象である「人間の思想および感情などを表現した創作物」ではなく、「人間のアイディア」に該当するものであるため、知識財産権の中でも特許権でのみ保護を受けることができる。自己の飲食物が特許登録を受けたものであることを広報する食堂をよくみかけることがあり、実際に2016年以降、レシピ(調理法)に対する特許は約1450件が登録されている。

レシピの特許を受けるために出願する場合、料理の過程を出願明細書に書面で記載しなければならず、料理の映像などでは特許登録を受けることができない。また、熟練した料理人の技術などのみにより可能な料理方法は特許法上の発明に該当せず、登録を受けることができない。

レシピ発明も他の発明と同様に、公知のレシピに対して新規性および進歩性が認められる程度の独創性が認められなければならない。つまり、既存になかったレシピや飲食物を開発したとしても、既存のレシピを組み合わせて十分に開発することができると判断される場合、進歩性は認められず、特許登録を受けることができない。

レシピの進歩性が認められるためには、公知のレシピから容易に導き出すことができない構成があり、かつこのような構成を通じて顕著な効果があることが認められなければならない。したがって、既存のレシピと比較して①単に既存のレシピに公知の材料のうち最も適した材料を選択して味を極大化するか、②公知の材料の投入量を最適の数値にして味を極大化するか、または③既存の材料に十分に代替できる材料を通じて味を極大化するなどの違いのみが存在する場合、進歩性が認められることは難しいといえる。

一方、本事案のように、レシピがテレビなどの大衆媒体を通じて公開された場合にも、当該レシピの「公知例外主張」を通じて登録を受けることができる。この「公知例外主張」制度は、発明者が発明の内容を公衆に公開した場合にも、公開日から1年以内に出願すれば公開内容を特許要件の判断時に公知技術と判断しない制度である。したがって、権利者はレシピの最初の公開日から1年以内に、公知例外主張出願を行ってレシピを権利化することができる。

しかし、レシピの独創性が認められ、レシピが特許登録されても、登録されたレシピは出願日から20年間のみ国内で法的保護を受けることができる。そして、特許法の原則上、出願したレシピは必ず公衆に公開されることが原則であるため、特許出願時にレシピは必ず大衆に公開される。

また、レシピ特許の侵害主張時、侵害対象料理が特許となったレシピから製造されたものであることを特許権者が証明しなければならず、レシピをコピーしたことを立証することは現実的に相当難しい。

したがって、独創的なレシピを発明する場合、特許出願して登録を受けることがマーケティングなどの側面で有利となり得るが、特許を出願するよりは、レシピを非公開とすることがレシピ保護により望ましい方案になることもあり、未だレシピが公開されていないコカ・コーラがその例といえる。競争会社のレシピが特許登録された場合にも先使用事実が認められれば、当該レシピを無償で使用し続けることができる。したがって、先使用の立証のために技術任置制度を活用すれば、その後に発生し得る紛争に効率的に対処することができる。