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一事不再理の原則の違反に対する判断時点、および却下審決に対する取消訴訟の審理範囲-大法院2018フ11360判決(2020.4.9.言渡)【登録無効(特)】 [公2020上、939]
弁理士 姜炯成

【判示事項】

一事不再理の原則の違反を理由として登録無効審判請求を却下した審決に対する取消訴訟において、審決時を基準に同一の事実および同一の証拠提出有無を審理して一事不再理の原則の違反を判断しなければならず、この時、審判請求人が審判手続において主張していない新たな登録無効事由を主張することは許容されないことを判示した事例

【判決の要旨および大法院の判断】

「本法による審判の審決が確定した時には、その事件に対しては何人も同一の事実および同一の証拠により再び審判を請求することができない。ただし、確定した審決が却下審決である場合には、その限りではない。」とし、特許法第163条は確定審決の一事不再理の効力を定めている。

審判請求人は、審判請求書を提出した後に要旨を変更することはできないが、請求の理由を補正することは許容される(特許法第140条第2項参照)。したがって、特許審判院は審判請求後、審決時までに補正された事実と、これに対する証拠を全て考慮して、審決時を基準に審判請求が先行確定審決と同一の事実・証拠に基づいたものとして、一事不再理の原則に違反するか否かを判断しなければならない。

一方、大法院2009フ2234全員合議体判決(2012.1.19.言渡)は、「一事不再理の原則により審判請求が不適法であるか否かを判断する基準時点は、審判請求を提起した当時とみなければならない。」としたが、これは先行審決の確定と関連した基準時点を審決時から審判請求時に変更したものである。

審判は特許審判院において進行される行政手続であって、審決は行政処分に該当する。それに対する不服訴訟である審決取消訴訟の訴訟物は、審決の実体的・手続的違法性の有無であるため、当事者は審決において判断されていない処分の違法事由も審決取消訴訟段階において主張・立証することができ、審決取消訴訟の法院は特別な事情がない限り、制限なしにこれを審理・判断して判決の基礎とすることができる。

以上で考察したように、一事不再理の原則の違反を理由として登録無効審判請求を却下した審決に対する取消訴訟において、審決時を基準に同一の事実と同一の証拠を提出したか否かを審理して一事不再理の原則の違反を判断しなければならない。この時、審判請求人が審判手続で主張していない新たな登録無効事由を主張することは許容されない。したがって、このような新たな登録無効事由の主張を理由として却下審決を取消すことはできず、新たな登録無効事由に対して判断することもできない。

【事案の概要】

原告は2017年8月25日に被告を相手取って本事件登録無効審判を請求し、本事件特許発明の進歩性が否定されると主張したが、特許審判院は2017年12月27日に本事件登録無効審判が先行確定審決と「同一の事実および同一の証拠」による審判請求であるため、特許法第163条による一事不再理の原則に反するとの理由により却下する審決を下した。その後、原告は2018年1月25日に上記却下審決の取消を求める訴えを提起し、原審において先行確定審決と本事件登録無効審判手続で主張しなかった記載不備と新規性否定など新たな無効事由を主張した。

原審は、このような事実関係に基づき、大法院2009フ2234全員合議体判決(2012.1.19.言渡)によると、一事不再理の原則の違反を判断する基準時点は審判請求時であるため、先行確定審決と本事件登録無効審判手続では主張されなかったが、原審に至って主張された新たな無効事由は、それ自体で理由がないとみて原告の請求を棄却した。

大法院は、登録無効審判請求を却下した審決に対する取消訴訟において審決時を基準に一事不再理の原則の違反を判断しなければならないため、原審が上記2009フ2234全員合議体判決を挙げて審判請求時を基準に本事件登録無効審判請求が一事不再理の原則に違背して不適法であるのかを判断しなければならないとしたことは誤りであるとした。ただし、審決に対する取消訴訟において新たに主張された無効事由に対してそれ自体で理由がないとみて却下審決を取消さず、原告請求を棄却した原審の結論は正しいと判断した上で、原告の上告を棄却した。

【判決の意義】

2009フ2234全員合議体判決は、憲法で保障された国民の裁判請求権(憲法第27条第1項)を過度に制限することを防止するために、特許法第163条の一事不再理の原則の「適用時点」に対する基準を審判請求時と規定した判示である。これとは別に、特許法第140条第2項により、審判請求時でなく、審決時を基準に審判請求が先行確定審決と同一の事実・証拠に基づいたものであるため、一事不再理の原則に違反するか否かを判断しなければならない。言い換えれば、「審理時点」は、審決時を基準としなければならない。

つまり、大法院の本判決は、2009フ2234全員合議体判決、特許法第163条および特許法第140条第2項間の法理誤解を明確にする判示として、一事不再理の原則の違反を理由として登録無効審判請求を却下した審決に対する取消訴訟において、審決時を基準に同一の事実および同一の証拠提出有無を審理して一事不再理の原則の違反を判断するものであると判示した。

また、大法院の本判決は、却下審決に対する取消訴訟における審理範囲と関連して、審決取消訴訟の訴訟物は、審決の実体的・手続的違法性の有無であるため、審判請求人が審判手続で主張していない新たな登録無効事由を主張することは、却下審決に対する取消訴訟において許容されないと判示した。これによって、新たな登録無効事由を理由として却下審決を取消すことはできず、新たな登録無効事由に対して判断することもできないことを明確にした。

【参照条文】

[1] 特許法第140条第2項

[2] 特許法第163条

【参照判例】

[1] 大法院2000フ1290判決(2002.6.25.言渡)[公2002下、2616]

[2] 大法院2007フ4410判決(2009.5.28.言渡)[公2009下、1043]

[3] 大法院2009フ2234全員合議体判決(2012.1.19.言渡)[公2012上、387]