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2020年に新たに変わる韓国の知識財産制度
弁理士 金明

韓国特許庁は、2020年1月2日にオンライン伝送ソフトウェア保護の施行、および商標出願に対するモバイル電子出願制度の導入をはじめとする、『2020年に新たに変わる知識財産制度』を発表した。新たに変わる知識財産制度は、第4次産業革命技術の早期権利化の支援、知識財産サービスを利用する国民の便宜向上、知識財産基盤中小・ベンチャー企業の革新成長支援などに重点を置いている。以下、その内容について詳細に説明する。

[1] 第4次産業革命分野の新技術の早期権利化の支援

▲オンライン伝送S/W保護の施行 (2020年3月施行)
従前は記録媒体(CD、USBなど)に保存されて流通するS/W特許のみが保護対象であったが、今般の改正によりオンライン伝送ソフトウェアもS/W特許として保護される。

▲素材・部品・装備企業の優先審判対象の拡大 (2020年1月施行)
素材・部品・装備産業の競争力強化のための特別措置法(2019年12月27日通過)により素材・部品・装備企業が当事者である無効審判、および権利範囲確認審判が優先審判対象に含まれる。

▲デザイン優先審査対象の拡大 (2020年1月施行)
人工知能(AI)、モノのインターネットなど、第4次産業革命に関連する技術を活用したデザイン登録出願が優先審査対象に含まれる。

[2] 知識財産サービスに対する国民の便宜向上

▲電子出願システムの改善 (2020年3月施行)
スマートフォンなど多様な端末でも商標出願が可能となるように、「商標モバイル電子出願システム」が構築され、平日と土曜日にのみ適用されていた「24時間無中断出願受付システム」が日曜日にまで拡大される。

▲デザイン一部審査のリアルタイム処理 (2020年1月施行)
デザインの方式・分類審査期間を優先審査水準に短縮して、デザイン一部審査の審査処理期間が10日程度に短縮すると期待される。

▲特許・実用新案の明細書提出形式の簡便化 (2020年2月施行)
従前は特許・実用新案出願時に定められた様式による明細書を提出しなければならなかったが、今般の改正により明細書の提出形式が簡便化されて、論文、研究ノートなどを編集過程なしにそのまま提出可能となる。

▲特許分類の活用性強化 (2020年1月施行)
「国家科学技術標準分類-特許分類」、および「産業技術分類-特許分類」間の連携情報を特許庁ホームページを通じて提供して、特許分類の産業活用性が強化される。

[3] 知識財産基盤中小・ベンチャー企業の革新成長支援

▲スタートアップの特許優先審査申請料の減免 (2020年1月施行)
スタートアップ(創業後3年以内の企業)が自社の行った特許出願に対して優先審査を申請する場合、優先審査申請料が従前の20万ウォンから6万ウォンに70%減免される。

▲知識財産担保融資の特許登録料の減免 (2020年1月施行)
銀行が知識財産担保融資などIP金融を実行した中小企業の特許権などを保有することとなった場合、年次登録料が50%減免される。

▲グローバルIPスター企業の育成強化 (2020年1月施行)
地域の有望輸出企業を対象に、地域別の特化産業技術分野に対する集中支援を通じてグローバルIPスター企業の育成が強化される。具体的に、2019年には570社を対象として150億ウォンが支援されたが、2020年には700社を対象として170億ウォンを支援予定であり、支援規模が拡大され、支援範囲も海外出願費用ばかりでなく、審査対応費用および登録費用にまで拡大される。

このような新たに変わる知識財産制度の導入により知識財産サービスに対する国民の接近が容易になり、急速に変化する知識財産環境に積極的かつ先制的な対処が可能になると期待される。